双黒(小)の妹は自分を置いて行った包帯の付属品を忘れることに決めたようで。

46話 ページ6

兄さんに近況報告をした次の日、私は自分の仕事を終わらせた後、芥川君の様子を見に行っていた。


確か芥川君の今日の任務は人虎捕縛だったはず。
手こずっているようなら力を貸そうかな。


なんて考えながら街を歩き、樋口さんに教えて貰った場所に着く。


さて、様子はどうだろう。とビルの影から覗こうとしたその時、



「────元ポートマフィアの太宰さん」



芥川君の声が聞こえた。
芥川君の発したその言葉は、私にとって一番聞き覚えのある名前であり、一番忘れたかった人の名前、



影から覗くとそこに居たのは4年間、私が求めていた、いや。忘れようとしていた人がそこに居た、


ﾄﾞｸﾝｯと早くなる心臓を抑える。


「、な、でこ、に…」


会いたくて会いたくなかった人、
突然の再開に呼吸は苦しくなり、太宰さん達の様子が窺えない、



「ｹﾎｯ、ﾊｧ、ﾊｧ、!」



胸を掴み、その場にしゃがみ込んで衝動を抑えるようにゆっくりと息を吸う。


……だが、心臓は早くなり、呼吸は苦しくなるばかり、



どうすればいいか焦るとまた苦しくなる。
そんな悪循環の繰り返しだった時、



「────大丈夫かい？ゆっくりと息を吸い給え。」



耳元で聞こえてきた声は優しくて、安心するような声だった────

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