双黒(小)の妹は自分を置いて行った包帯の付属品を忘れることに決めたようで。

73話 ページ40

「ねぇねぇ！次はどこ行くの！」


久作君と任務をこなしてから１週間、
外出許可を与えられた私達は久作君の望むとおり、外で色々なことをしていた。


ヨコハマの観光名所へ行ったり、私のオススメの場所に行ったり、あとは美味しいものを沢山食べたりした。



「お姉ちゃん、楽しいね！」


そう言ってニコーっと愛らしい笑顔を向けてくれる久作君は本当に楽しそうだった。


この間の不機嫌は何だったのか、結局分からず仕舞いだったが、久作君が楽しそうなら良しとしよう。



「うん、とっても楽しい。」

「お姉ちゃんの言った通り、クレープとっても美味しかったし、橘堂の湯豆腐美味しかった！」


「いっぱい食べるからお金が無くなっちゃったよ。」


「えへへー、ごめんなさぁい。」



お金が大分減ったのは確かだが、この子がこんなにも楽しそうなら良いかと思えてくる。



「……久作君、ここで少しだけ待ってられる？」


「？お姉ちゃん、どっか行くの？」


「ちょっと用事が出来てね。すぐ戻るよ。」


「……分かった、待ってるから早く帰ってきてね。」



少しだけ寂しそうな久作君の頭を優しく撫でると嬉しそうな顔をする。


……この子のために出来るだけ早く“用事”をすませよう。

74話→←72話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す