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71話 ページ38

「わぁー…!!外の世界ってこんなに広いんだね!」


久作君は座敷牢から出てしばらくはそうしてまるで初めて外の世界を見たかのように辺りを見回している。



時折、あれは何?これは何?と服の袖を引っ張りながら聞いてくるのが愛らしい。




「お姉ちゃん!約束通り、クレープ食べに行って、ヨコハマを観光しよう!」



久作君はキラキラと期待に溢れた目で見てくるが、



「駄目だよ、久作君。先に言われた任務をこなさなきゃ。」


「……むぅー」



仕事をしなければならないのでそう言うと久作君はわかりやすく膨れた。



「ふふっ、仕事が終わったら観光すればいいよ。いつでも付き合うから。」


「ほんと!?約束だからね!!」


頬を膨らませる久作君の頭を撫で、宥めると機嫌を直し、やる気満々になる。



「お姉ちゃん、頑張ろうね。」


「……うん、」




━━━━━━━━━━━━━


「本当にここからは一人で大丈夫?」

「大丈夫だよ。それにここからは僕一人でっていう首領からの命令でしょ?」



久作君の言葉にグッと言葉を詰まらせる。
そう、私達は今電車の中に居た。


久作君は電車で探偵社の事務員との接触、
私は少し離れたところで待機を言い渡されている。



「僕なら一人でも大丈夫だよ。任務こなしてお姉ちゃんとクレープ食べに行くためだもん!」



ニッコリと笑って私のためだと言われればこれ以上止めることは出来なくて、


「気を付けて行くんだよ…?」


「大丈夫!ちゃんと異能を使う為に準備までしてきたんだから。」


久作君は袖をまくって腕を見せる。
……そこにはカッターが突き付けられ、傷だらけになった腕があった。


「ね?ちゃんと任務を達成出来るように準備してきたんだ!偉いで、」



久作君が言い切る前に前からそっと腕を傷付けないよう抱き締める。


「……お姉ちゃん?どうしたの?」


久作君の困惑した声が聞こえる。

……抗争で勝ち抜く為とはいえ、大事な弟のような存在の久作君を傷付けなければならない事に心が痛む。


何か、少しでも久作君の心を和らぐような言葉を送りたかったが、血に汚れた私では何も言えなくて、



「……なんでもないよ。」



出てきた言葉はそれだけだった。



「そっか。」


久作君はまだ困惑気味だが、抱き締め返してくれる。


「……お姉ちゃん、あったかいね。」


「うん、……とっても、あたたかい。」



血に汚れた私達でも、人間なんだと証明出来る唯一の瞬間だった。

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山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 全然大丈夫です!もう描いてもらえるだけで本当にありがたいんで!! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!少し絵柄が違うかもしれませんが、その時はすみません... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 描いてもらえるだけで本当に嬉しいのでどちらでも大丈夫です!描いてくれて本当にありがとうございます! (2019年2月27日 22時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 夢主ちゃんのことなのですが...4年前と現在の姿は別々のイラストが良いですか?それとも一緒の方が良いですか?2パターン描いてはいるのですが... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!いえいえ!!ありがとうございました! (2019年2月19日 8時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山猫 | 作成日時:2019年2月9日 14時

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