65話 ページ31
「……で、なんで居るんですか?太宰さん。」
あれから私達は約束していた通りクレープを食べに来ていた。
約束していたのは敦君と鏡花だけな筈なのに何故か私の隣には太宰さんがいる。
「おや?私が居ては不味いのかい?」
「貴方が嫌いだからいて欲しくないんです。」
「せっかく二人っきりに慣れたというのに、冷たいねぇ〜」
そう、鏡花達と来ていたはずなのだが……この男の手八丁口八丁により乗せられた鏡花達はクレープを買いに行き、私達はベンチで待機していた。
「別に君達三人で行かせても良かったのだけれど……君は一応ポートマフィアの幹部補佐であり、敦君は懸賞金の人虎だろ?一応見張らなくてはいけないのだよ。」
なんて面倒くさそうに言っているが、
「……じゃぁこれはなんですか?」
「Aってば知らないのかい?これは恋人繋ぎだよ。」
それは知ってる、問題はそこでは無い。
何故、恋人同士でも無い私達が恋人繋ぎをしているのかを聞いてるんだ。
「これは君が異能を発動しないためのものだよ。こうしていれば異能を使って逃げるなんて出来ないだろう?」
そう言うと太宰さんはキュと強く手を絡めてきた。
「だったら普通に繋げば良いでしょう。一々こんな誤解されるような繋ぎ方しなくても、」
「……これは虫退治のためでもあるのだよ。」
「はぁ?虫?」
太宰さんは怖い目である場所を睨み付けていた。
視線を追って見るとそこに居たのは数人の男性。
男性達は顔を青くして去っていった。
「ほんと、虫が付きやすくて困るよ。」
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「…A、美味しい?」
「うん、美味しいよ。鏡花は?」
「…とっても、美味しい。」
あれから戻ってきた鏡花達はクレープを食べる。
何だかやりきった感を醸し出している鏡花は可愛かった。
そうして受け取ったクレープを食べると鏡花はソワソワしながらも感想を聞く。
きっと、この時間をずっと楽しみにしてくれていたのだろう。
頬は嬉しそうに赤く色付き、頬は珍しく緩んでいる。
「……鏡花、楽しい?」
「…うん、」
少ない言葉。
けれどそれでも十分に伝わるほど、私達は幸せだった。
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山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 全然大丈夫です!もう描いてもらえるだけで本当にありがたいんで!! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!少し絵柄が違うかもしれませんが、その時はすみません... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 描いてもらえるだけで本当に嬉しいのでどちらでも大丈夫です!描いてくれて本当にありがとうございます! (2019年2月27日 22時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 夢主ちゃんのことなのですが...4年前と現在の姿は別々のイラストが良いですか?それとも一緒の方が良いですか?2パターン描いてはいるのですが... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!いえいえ!!ありがとうございました! (2019年2月19日 8時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山猫 | 作成日時:2019年2月9日 14時