双黒(小)の妹は自分を置いて行った包帯の付属品を忘れることに決めたようで。

63話 ページ29

「……クレープ？」


何故、今クレープ？確かに今度奢ってとは言ったけれども…


私がポートマフィアの幹部補佐であり、人虎である君のことを狙っていたことを知らないのだろうか、？



「あぁの！い、いやなら全然大丈夫なんですけど、、！でも僕、Aさんにはお世話になったし、この間約束したので、その……！」



敦君は慌てたように手を振りながら言い分を並べる。


「……敦君、分かってる？私はポートマフィアの人間で、君のことを狙っていた組織の一人なんだよ？」



一人慌てている敦君に静かに事実を告げる。
けれど、そう言うとあれだけ慌てていた敦君は落ち着きを取り戻し、真っ直ぐこちらを見る。



「……そうだとしても、僕は貴方に救ってもらいました。その恩は決して変わらない事実です。」



照れたように笑う敦君は、眩しかった。



「……A、そんなに気にしなくても大丈夫さ。敦君の他にもう一人、君と食べたがっている子がいるしねぇ。」



今まで黙っていた太宰さんは口を開き、ドアを見る。



「入っておいでよ。」



太宰さんの声でドアがガチャりと開く。



「……A、」


太宰さんの声で静かに入って来たのは、俯いている鏡花だった。

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