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閑話2 ページ2

兄さんが幹部に昇進した。
兄さんは元々優秀なこともあり当たり前の結果だと少し誇らしく思う。


いつでも優しくて、少し過保護で、でもとっても頼りになる兄さん。


私は昔から兄さんが大好きだった。
それは今でも変わらないし、これからもずっとそうだ。



「……A、手前は俺を、恨んでるか…?」



そんな兄さんが、ある日お酒を飲んでいる最中にポツリと零した言葉。


その声はいつもの自信満々で、頼れる声とは違い、弱々しい声だった。



「恨んでないよ。」



私が兄さんを恨む理由なんてない。
兄さんは何時でも私を最優先に考えてくれる。


だから、



「“あの日”のことは気にしなくていいんだよ。」



そうやって答えるんだ。


……“あの日”、きっと兄さんが気にしているのは太宰さんが組織を抜ける原因となった事件の前日での旅館の事。


私が太宰さんの元へ駆けつけようとしていたのを兄さんは無理やり止めたから、それを気にしてるんだろう。


そう判断して私は自分の考えを正直に話した。


「、だが俺はッ」


「兄さん。」



兄さんが何かを言う前に言葉を遮る。



「兄さん。兄さんは悪くなんてないよ。あの時私が本部に戻っていたらきっと重い罰を下されていた。兄さんはそうならないために私を助けてくれた。それだけだよ。」



そう言っても兄さんは浮かない顔をする。



「……兄さんがあの時私を行かせなかったのは私を守るため。それは十分理解しているし、感謝してる。」



“ありがとう。”

そう言って笑うと、兄さんは胸のつっかえが取れたように安心して笑ってくれた。



それは、昔から見てきた私の大好きな兄さんの表情。

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山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 全然大丈夫です!もう描いてもらえるだけで本当にありがたいんで!! (2019年2月27日 23時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!少し絵柄が違うかもしれませんが、その時はすみません... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
山猫(プロフ) - ゆちよきしさん» 描いてもらえるだけで本当に嬉しいのでどちらでも大丈夫です!描いてくれて本当にありがとうございます! (2019年2月27日 22時) (レス) id: 8fa618dd04 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 夢主ちゃんのことなのですが...4年前と現在の姿は別々のイラストが良いですか?それとも一緒の方が良いですか?2パターン描いてはいるのですが... (2019年2月27日 22時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちよきし(プロフ) - 山猫さん» 了解です!いえいえ!!ありがとうございました! (2019年2月19日 8時) (レス) id: 74d3721888 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:山猫 | 作成日時:2019年2月9日 14時

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