唇に滲むブルー 【HQ!!】

Toru.08 ページ18

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「はぁ〜」

「おい不幸をばらまくな」

「しょうがないじゃん、ため息くらい吐かせてよ」

「…はぁ」

「ほら岩ちゃん人のこと言えんのー！？」


最近増えた岩ちゃんとの飲み会。
部活のことなんてとっくのとうに話終えてしまって、今ではもう、ただの愚痴言いまくる会になっている。


「岩ちゃんはさー」

「あ？」

「また次の恋したいなーとか、思わないの」

「あー……いや、まぁない…わけじゃないけども」

「え、あるの！」

「そりゃ、ずっと傷心してるなんて誰かさんみたいに女々しくできてねぇからな」

「…返す言葉もございません」


そう、岩ちゃんは先日大好きだった彼女と別れたばかり。
なんだかそういうことに関しても阿吽の呼吸で、もう笑うしかないよね。あはは


「…可能性って選択肢に入れちゃいけねんじゃねーかな、って、俺は見てて思ったけどな」

「は！？どういう意味？」

可能性？なにの？んん？

「いや、お前が何から逃げてんのかは大体わかるけど、“先輩と幸せになる”ってゆーのは選択肢としておかしいと思うわ」

先輩と幸せになる…

「お前が持ってる選択肢は、“先輩を追いかける”か“Aを取り戻す”の２つに一つだろ。
幸せになれるかどうかなんて不確かな可能性とAを比べるから、分かんなくなんだよ。」

あ、そうか

「岩ちゃん…」

「あ？」

「俺のことよく見てるね！さすが！もう付き合っちゃう！？」

「寝言は墓場で言え」

「墓場！？寝る=永眠の方向ですか！？」

「うっせ、お前の話なんてもう終わりだ終わり！次は俺の話だクソ川」

「わーい待ってましたー！」


＿＿＿
＿＿
＿






…いやほんと、岩ちゃんは何とも呆気なく正解を言ってのけてしまった。
俺はそんな間違いを…
そらいつまでたっても答えがでないわけだ。

でも怖いのだ。園美さんを選んだとして、俺と彼女が結ばれなかったら、俺は全てを失ってしまう。
だったらAと戻ればいいのに、そんな消極的判断ではいけない。

答えのでない迷宮に迷い混んだつもりの俺は、甘い蜜の香りに誘われて、けど怖くて動く勇気もなく、安心する寝倉を捨てきることも出来ず、じわじわと押し寄せてくる空腹の波に耐えている。

そろそろ限界だ、愛がほしい。

本気で愛し続けられるような、愛がほしいよ、A…

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