百七拾八、八年 ページ28
土方side
土「うぉっ?!」
「うがっ?!」
Aに電話をかけようと、携帯に目を落としながら襖を開けると、まさかのその本人とぶつかってお互い転けかける
なんか今、とても女とは思えない声が聞こえたような聞こえなかったような
「…こんな所にいたの」
土「それは俺のセリフなんだが」
まあちょうど良かった、と前を歩き出す
土「お前に客だ」
「客…?そういえば誰か来てるみたいだったけど、その人?」
土「ああ。“日西”と言っていたが、知り合いか?」
「……………日西?」
虚空を見つめた後首を振ったAには、何も心当たりは無さそうだった
母親と娘のような二人だったから攘夷志士とかでは無さそうだったが
そのことを伝えると、更に首を傾げて何も無い虚空をまた見つめた
「それはいいとして、…さっきのあれ、何」
土「あれって何だ」
「ほら…焦ってるってやつ」
ああ、あれか
何かに焦ってる様だったからそう言った迄なのだが
今までは特にしてなかった素振りを暇さえあればやってたり、絶対に逃げてた俺との勝負も容易く買ったり
…生き急いでるっていうか何ていうか
土「…わっかんねーな」
「何」
土「何でもねぇよ。後で聞く」
それよりも先に客だろうが、と言ううちに玄関が近付いてきて同時に隊士や客の女のものであろう笑い声も大きくなってくる
そこに面してる角を曲がり、入口にいる二人を顎で指す
土「ほら、待たせてるぞ」
俺の斜め後ろで止まったAは
女「八年振りね、A」
顔を上げて客を確認した瞬間
「………う、そ」
俺にしか聞こえないような微かな声でそう呟いて固まって、俺の上着の端を掴んだ
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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2018年3月27日 3時