多過ぎやて ページ9
なんか太宰さんが私から視線を外してふらふらとよく判らないものを目で追っていたのだが、不安になって『あのぅ』と声をかければ、気づいたように私の方に視線を戻して笑いかけた。……良かった、普通に戻った。
ほっと息を吐く私を知ってか知らずか、彼は「じゃあ」と言いながら自分の引き出しの中をゴソゴソと漁り、机の上にあった書類の上に持ち出したそれを重ね、更に横の棚にあった紙を引っ張り出し、それをもう一度先程のものに重ね。
「それじゃあ早速コレお願い」
太宰さんはその書類の山を何の躊躇いもなく私に渡す。高すぎるその山に踏鞴を踏んで、前が見えない。
『いやあの』という私の声は絶対に彼に聞こえていたはずなのに、周りがほぼほぼ見えない私を置いてドアが閉まる音が一人っきりの部屋に響いた。
紙の束の重みが過ぎるのでほぼ動けない私。そして誰一人として私に声を掛けてくれない現状。
『……』
取り敢えず無言で書類を机の上に置いた。
多分今の私は世界の誰よりも悟り切った菩薩顔をしていると思う。
『終わった……私は終わらせたぞお……』
死ぬ。あのクソ太宰絶対何時かぶん殴る。あらやだ口がオイル並みに滑ってしまった。
と云うかアレだからね、マフィアって云ってるだけあってかなーり凄惨な死体とかあったからね。何だっけ石を噛ませて頭蹴ってとかいうのあったじゃん。裏切ったのか知らないけどそれで死んだ人が五人ぐらいいてさ、いやこれ何で私が処理しなきゃダメなんって十回ぐらい思ったわ。
……マジで吐くかと思った。いや人が死んだ処なんて一度も見たことない私にこれは堪えるて……。
あーもー、太宰さんホント仕事ほっぽって何処行ったんだよ。というか国木田さん達の気持ちがよぉく分かったわ。もしこの世界で会えたら労ってあげよう。多分無いと思うがねえ、だって私今マフィアだしねえ。
太宰さんへの愚痴を呟きながらグッと背伸びをし、身体をほぐす。ドアを開けて太宰さんを探しに行こうとしたその時。
『ふぎゃッ』
「あ、悪ィ」
唐突に部屋の外から開けられた扉が私のおでこと鼻頭に
ふざけんなノックぐらいしやがれ、という言葉を言おうとして扉を開けた人物を見上げる。
ぶふぉっと誰かが噴き出す声が聞こえた。御免私だったわ。
『中原中也さっ……!!』
「あァ……、俺のこと知ってんのか」
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白夜の世界 - ユーヒ様、申し訳御座いません。ですが、優姫ちゃんは死んだおりません。作品の中では余り細かい描写をしていないのですが、今昏睡状態になっております。…あと、本当にどうでもいいかもしれませんが、ユウキちゃんです…。御気分を悪くさせてしまい申し訳御座いません (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - ゆきな様、ありがとう御座います!其方もお体に気をつけて下さい! (2019年4月3日 7時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
ユーヒ - 夢主の親友が私と同じ名前で、死んだって聞いて何かショック。('' ) (2019年4月3日 1時) (レス) id: 1dd8890cea (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - ヤバい太宰さん変t))ん"ん"…織田作かっこいい!(中也さん推し)これからも無理せずに頑張ってください (2019年4月3日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界 - 船長様、ありがとう御座います!此れから続編へ行きますので、どうぞ次の話も、宜しくお願いします! (2019年4月2日 15時) (レス) id: 15ab1d9eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年2月24日 21時