おかあさんではありません！2【浦.島.坂.田.船】

油断した！ ページ40

翌日、上機嫌の母に起こされ時計を見ると朝の6時を指していた。

「.....早くない？」
「色々準備があるのよ」

「はい、これ着て」と手渡されたのは淡い水色のワンピース。

「これどうしたの？」
「この日のために買ったのよ。ほら、早く着てみて」
「この日のため...？ちょっとお母さん今日どこ行く気なの？」
「まだ秘密よ〜。あれ？あんた太った？」
「うるさい！」

膝丈でふわりと揺れるワンピースはとても私好みで、「さすがお母さん」としか言い様がなかった。
けれど、こんなよそ行きの服を着て一体どこに行こうというのか。

「お化粧もしっかりしなさいよ」
「...分かってるよ」

あぁ、面倒臭い。
普段は必要最低限しか化粧をしていない。
横から口を出してくる母にうんざりしながらメイクを終え、言われるがままにバックと靴を選び家から出た。

「で、どこ行くの？そろそろ教えてよ」
「ん〜○✕ホテル」
「○✕ホテル〜？何、ランチでも行くの？」

タクシーに乗り込みホテルへ向かう。
いや、待て。
ランチには些か時間が早いぞ？

「ねぇA、一応聞くけど彼氏はいるの？」
「.....いないけど、ねぇ、待って、もしかして」
「やっぱりいないのね〜！実は私のお友達のお子さん独身でね〜」

「降ろして！！」

私の叫びも虚しくタクシーはホテルへと一直線。



(油断した！！)

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