おかあさんではありません！2【浦.島.坂.田.船】

違和感 ページ4

満員になった客席は、無数のペンライトでキラキラと輝いている。
控え室のモニターから歌っている4人の様子を見ていると、コンコンとノックが聞こえた。

「あ、鈴木さん！」
「何かありました？」

スタッフさんのひとりが顔を出し、「ちょっといいですか？」と手招きしてきた。

「実は...裏口に怪しい人がいて...」
「！！その人、私も昼間見たんです」
「じゃあずっといるのかなぁ？念の為帰る時はいつもと違うところから出てもらってもいいですか？」
「分かりました」

やっぱりあれは気の所為ではなかった。
せっかく成功したライブを最後の最後で台無しにしてはいけない。
気持ちを引締め、帰りのルートを頭の中で確認する。
会社にも連絡し、ダミーの車を用意して貰うことにした。

(一応特徴を確認しないと...)

近くにいた男性スタッフに声をかけ、一緒に裏口へ向かう。
ドアについている窓からこっそりと外の様子を窺うと、昼間見たのと同じ人がうろうろしていた。

「あー、やっぱりまだいるね。鈴木さんが送って行くんでしょ？」
「本当は男性と交代できたらと思ったんですけど、生憎手が空いてる者がいなくて...」
「え、大丈夫？」
「入社する時一通りの護身術は教えてもらったので！」

と力こぶを作る真似をすると「さすが鈴木さん」と何故か感心された。
相手の背格好を覚え、こっそりと中へ戻る。

(あれ？)

ふと、違和感を感じた。



(なんかおかしいような...)

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