空気読めない青少年と空気読まないで欲しかった男 ページ14
_________パチッ
一瞬にして、電気が消えた。
周囲の人間が騒いでいる、あァもう煩いなあ。
しかし、数秒したら何故か人の声が段々遠ざかってきた。
パッと次に電気がつくと、そこは鉄の臭いがする赤い血の海だった。
「うわっ、何これ......あの一瞬でこんなに死んじゃったのかあ...」
先刻までシャンデリアで照らされ、キラキラと輝いていたこの部屋は先刻の爆発の所為で、一気に地獄と化していた。
部屋の壁のあちらこちらには、十秒くらい前には無かった銀色の糸が張り巡らされていた。
銀色の糸にはこの部屋にいる私以外の血が付いていた。
回りを見ても、ほとんどの人間は元の原型を留めていなかった。
そうとなれば、仕事仲間の中也も見当たらない。
...真逆...
「...どうしていつも私ばっかり生き残るのかねぇ...」
瞼を伏せ、鉄臭い部屋で一人黙って天井を見上げた。
数秒の沈黙、次の瞬間、私の真横に積み重なっていた死体が四方八方に吹っ飛んだ。
「重いわァァァァ!!何が起こった......って、太宰!これどういう事だ!?」
「......君って本当に空気が読めないよね」
「はあ?どういう意味だよそれ!?」
「はいはい、で、これはどういう風に見えるかい?中也」
そう云いながら、私はAちゃんに無線を繋いだ、どうやら近くの電波までは届くみたいだ。
「はあ?どう見たってあっち側が俺達に先に気づいたんじゃねぇのか?」
まあ、正直中也の意見なんてどうでも良いけど。
慣れた手つきで黒く大きい機械をいじりAちゃんと無線とやり取りした。彼女はもう既に任務を遂行したらしい。
私はこの状況のことを手短に話した。直ぐに向かうとそっちも短く返事が帰ってくると無線を一旦懐にしまった。
「おい、太宰。これ何でできてやがんだ?」
そう云いながら彼は指先で銀色の糸を弾く。
「...判らない、でも強度は結構ある。ダイヤででも出来てるんじゃない?」
「ま、マジかよ、すげえ...」
適当なことを云っておけばこのバカは直ぐに信じる。ほら、興味津々。
うーん、中也の反応も面白いけどもっと面白いものないかなあ?
例えば、人類の顔面偏差値を下回っている人間とか。
「流石流石、マフィアの天才」
.......私たちは黙って声がした方の天井を見上げた。
そこには、もう皮と骨だけで出来ている、口が裂けそうな位笑っていた男が重力法則無視で天井にへばりついていた。
うん
確かに、面白いものを私は求めていたよ?でもね、
ホラー要素を求めた記憶はないんですけど。
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yuhs2828(プロフ) - めちゃ好きです…!更新楽しみにしてます! (2022年3月30日 22時) (レス) @page18 id: 91befa6124 (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 加賀さん» すみません、間違えていました。修正しておきます。ありがとうございます!楽しみですと......!?更新、頑張ります! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 恋雪さん» ありがとうございます!面白いですって!?マジか、嬉しいです!更新頑張ります! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
加賀 - 確信犯の意味間違ってますよー、面白いです。更新楽しみにしてます (2019年5月24日 6時) (レス) id: 50f98fc46b (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - めっちゃ面白いです…これからも頑張ってください!! (2019年5月24日 6時) (レス) id: f47a566b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想見る主人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/buyda/
作成日時:2019年4月28日 17時