狙撃と仕事と追加仕事 ページ11
時刻は20時56分。
私は今年初めて、恐ろしい思いをしていた。
此処は東京湾沿いにある、建設途中の摩天楼の36階、鉄骨とコンクリートだけで出来ている建物の上に、足元の幅は50センチもないところで
私は命綱無しで六キロ近くある狙撃銃を構えて、小刻みに震えていた。
いや、マジで助けて?マジでガチで、これ雨降ったら足元一センチでもずれただけで下へ真っ逆さまだからね?
そんな心の声を抑えながら、深呼吸を何回か繰り返して銃を握り直した。
東京湾に浮かぶ少し並の船より大きい船をスコープを覗いて見た。
......貴族らしい人間が結構多いな。
彼等は私たちがこれから起こす惨劇については知るよしも無いだろう。
「A、裏切り者が外に出た、いいタイミング仕留めてくれ」
『はい...撃ったらその反撃で海に落とせば良いんですよね?』
耳についているイヤホンで、雑音と混ざりながら中原さんの声が聞こえた。
「あぁ、此方が終わる前に仕留めてくれ......気づかれないようにな」
『了解...そちらはどうですか?』
「主催者は一応発見できたから、あとは此方で任せて〜」
太宰幹部の呑気で余裕な声が聞こえたから取り敢えず問題はないだろう。
どうせ太宰幹部のことだし。包帯無駄遣い装置だし。一応上司だし。
『......居た...』
船の屋根がない、人がいない所にオーナーは居た。船の端にある柵に寄りかかり、夜風に当たっているオーナーに標準を定めた。
普通なら狙撃者の隣には護衛がついているのだが、私は狙撃しながら相手の銃弾を回避することが可能だから護衛は必要としなかった。
......よし、このまま撃てば反動で死体となった人間は海へ落ちる、おまけに人もいないから誰も彼が死んだことに気づかない。
いい舞台だ。
『実行の着手、確認』
______ターン、ガシャリ。
男の脳天に丁度銃弾が中る。男は何が起こったのか判らないまま、静かに海へ頭から落ちた。
『......任務完了』
案外、あっさり終わってしまったな。
「もう終わったのか!?」
驚いたような声で中原さんは無線で話してきた。
『はい、ターゲットが案外単純で、いち早く終わることができました』
「......Aちゃん、外部から見た船内ってどう見える?」
『え?......別に、何も異常はありませんが...』
「...やっぱりか。Aちゃん、まずい、今すぐ応援に来て」
_____此方の動きに勘づかれた。
激しい頭痛と同時に、明日も眠れないと私は悟った。
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yuhs2828(プロフ) - めちゃ好きです…!更新楽しみにしてます! (2022年3月30日 22時) (レス) @page18 id: 91befa6124 (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 加賀さん» すみません、間違えていました。修正しておきます。ありがとうございます!楽しみですと......!?更新、頑張ります! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 恋雪さん» ありがとうございます!面白いですって!?マジか、嬉しいです!更新頑張ります! (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
加賀 - 確信犯の意味間違ってますよー、面白いです。更新楽しみにしてます (2019年5月24日 6時) (レス) id: 50f98fc46b (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - めっちゃ面白いです…これからも頑張ってください!! (2019年5月24日 6時) (レス) id: f47a566b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想見る主人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/buyda/
作成日時:2019年4月28日 17時