15話 ページ21
「…」
まだ男は続ける。
「お前の家系は本当においしかったのに…。逃げ出すなんてな。お前はこれから俺の餌だ。」
そう乱暴に頭を撫でた。
それから毎日少女は地獄だった。
血を吸われ、あるときは貧血で倒れる。
抵抗か、何かをすれば、しつけがなっていないとされご飯もらえなかったりすることはもちろんのこと、少女が生きていくのに欠かせないものさえも奪われた。
「ごめ、なさい…いたい、いたいで…あ"っ！」
「うっせえ！お前はただの餌なんだよ…口答えすんな！」
そのせいで少女の体はどこも傷や痣だらけ。
それでも彼女を心配するものは誰1人としていない。
「しに…たい…。」
少女自身もこの世から命を絶ってしまいたいと思うくらい、この場所からいなくなりたかった。
だがそれは叶わない。
少女は男の餌なのだから。
少女は吸血鬼が嫌いになった。
ある日…
「ご主人様。お手紙が届きました。」
「はぁ？」
『3日後、夜11時にあなたの家にあるお宝…「雷火の欠片」をいただきに参ります。
怪盗・オールジュエリー』
それを男は破り捨て、少女に当たった。
そして約束の日の3日後
少女は逃げ出していた。
廊下を男の部下に合わないように走った。
だがそれは叶わなかった…。
少女は何かにぶつかり顔を上げると、男の部下がそこには立っていた。
少女は追いかけられ逃げ出した。
それと走った先にいた女性と男性が声をかけ背中に隠してくれた。
そのまま男の部下はどこかへ行ってしまった。
少女がお礼を言うと、その夫婦と思わしき男女は、少女の頭を撫でた。
そしてそっと少女に耳打ちをした。
「私達はあなたのパパとママ。
捨ててごめんね。守ってあげられなくてごめんね。
さ、ママとパパと一緒に逃げよう。
もう絶対離したりなんかはしないから。」
その時初めて少女は希望を目にした。
だが、それは叶わなかった。
やはり男の部下につかまってしまった。
隙をつき少女は逃げ出すことができた。
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作者名：朧月 天音 | 作成日時：2020年12月8日 21時
