18 ページ19
Noside
同じ時刻、太宰は港にいた。
横浜の港湾から海沿いに十分も歩くと、人工林に囲まれた倉庫街に辿り着く。
そこには登録番号を削り落とした小型船舶や、世界各地から集まる盗難車両や、爆薬を精製するための大型分離機が並んでいる。
近隣の住民はおろか市警でさえ用が無ければ立ち入らない、ポートマフィアをはじめとする黒社会が管理する、謂わば地雷地帯だ。
その沿岸に今朝、三人の人間の死体が打ち上げられた。
「市警に連絡が行かぬよう手を回せ。
それから掃除屋を呼べ。
死体を運ばせる」
死体が打ち上げられた現場では、黒服の男達が黙々と動いていた。
ポートマフィアの構成員達。
街の"ならず者"である構成員たちも、今は表情を消して、ただ命じられるまま作業を進めている。
理由はふたつ。
打ち上げられた死体が彼らの同僚__ポートマフィアの構成員のものであるため。
そして事態の重さから、現場に間もなく五大幹部のひとりが視察に来るためだ。
「遺体の構成員に家族が居たか調べよ。
もし居れば……」
現場を指揮しているマフィアは、そこで一度言葉を切った。
「家族には私から説明する」
現場を指揮するのは、年かさのマフィア員だ。
白髪に葉巻、黒外套も背広も、残らず糊を利かせた、紳士然としたマフィア。
最古参のひとり、広津柳浪だ。
広津は懐から螺子巻き式の金時計を取り出して、時刻を確かめた。
「間もなく幹部がお着きになる。
それ迄に被害の様相を纏めておくのだ」
「おっはよー皆さーん」
広津の言葉とほぼ同時に、人工林の向こうから声がした。
*
ラッキーアイテム
包帯
ラッキーキャラ
織田作之助
30人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時