19、指名手配犯にこんにちは ページ19
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かれこれ三十分程度は爆走していた気がする。
いつの間にか、交番の前にいた。
汗だくでぜえぜえと息を吐く私を不審に思ったのかお巡りさんが出てくる。
「お嬢ちゃん、どうかしたのかい?」
「……ふぅ……はぁ……あのですね……」
しかし、なんて云えば良いのだろうか。
事実、私は特に危害は加えられていないし、寧ろ寝床を提供してもらった。……何を、私はこんなに怖がっていたのだろうか?頭がすぅっと冷めていき、みるみるうちに顔が青ざめていくのが自分でもわかる。
「……大丈夫かい?一回署に入りなさい」
「あ、はい……」
交番に入り、案内されるがまま椅子に座った。
若いお巡りさんが水を淹れてくれる。
「それで、何があったの?」
「……えっと……友人と鬼ごっこをしていたところ、迷子になってしまいまして」
咄嗟に思い浮かんだのは、あまりにも無茶苦茶で意味不明な云い訳だった。流石にこれには無理がある。と気づいた時には既に遅くて。お巡りさんは怪訝そうに目を細めた。
「ゴホッゴホッ……道に、鞄が落ちていました。遺失物、かと」
この場をどうやって切り抜けようか悩んでいると、黒ずくめの男性が入ってきた。余程荷物が重いのか、腰を低くして頭はだらりと下を向いている。まるで顔を隠したがっているかのように。
「ああ、落とし物ね。じゃあ、この書類に詳細を───」
「おや、あんたどっかで」
熟年のお巡りさんが眉を寄せ、男性の顔を覗き込んだ。男性は嗤う。
「流石。もう看破なされたか。
矢張り、この街の軍警は頗る優秀だ」
男性の外套が鋭利な刃に変形し、若いお巡りさんに喰らいついた。声が出ない。初めて目の前で行われる `殺人´ を見て言葉を失うしかなかった。
「嬢ちゃん!」
熟年のお巡りさんが私を庇うようにして飛びかかる。それと殆ど同時に、お巡りさんは血を吐いた。その血が、私の顔に、前髪に、飛び散る。
「無垢な一般市民を庇うとは……最後まで己の正義を貫く姿、評価に値する」
男性がゆっくりと、此方へ近づいて来るのが足音でわかる。男は私に覆い被さり守ってくれたお巡りさんの死体を乱暴に退かすと、私の前髪を引っ張った。
「
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黒灰白有無%(プロフ) - 試しにと思い読んでみたら迚も面白かったです!!賭ケ/グ/ル/イは少々爆笑 Aが割と多く出て来るのは珍しいですね。凄く良い話だったので其の儘続編も楽しませて頂きます!! (9月8日 3時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
そよそよ - A''''わずか一話で死んだのにいいキャラだった (2023年4月14日 18時) (レス) id: 28bb2962c4 (このIDを非表示/違反報告)
モモンガ←? - すっごくこの作品大好きで何回も読んでます!!七竈ちゃん可愛くて大好きです!!!!!! (2022年8月25日 13時) (レス) id: e4f6a8b567 (このIDを非表示/違反報告)
ミカン - Aはいいキャラしてるんだよなぁ (2022年1月4日 8時) (レス) @page50 id: 168fc3a64e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 太宰さん…。 (2020年5月11日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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