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11.〈路地裏にて〉 ページ12










『はあ、はあっ……、やば、見失った』





あの猫……もとい、夏目のおじさんを追って来たはいいものの、完全に見失ってしまった。

これ程自分の運動不足を呪った事は無い。


入って来たのは路地裏。

この街の路地裏に入って良い事があった事が無い。

此処は早めに抜けた方が良さそうだ。





『お願いだから何も起こらないで出て来ないで…』

「何ブツブツ云ってんだ?」

『ひゃあっ!!?』





いきなり声が響いたものだから、驚いて変な声が出てしまった。

でも、恥ずかしいだなんて思う暇も無かった。





『え……中也さん?』





路地の壁に腕を組んでもたれていたのは、何と中也さんだった。

完全に不意打ちで、私はぽかん、としたまま立ち尽くす。





「よォ。()()()()だな探偵社の()()





ニッと笑う彼に、違和感を感じた。


そして中也さんが私の正面に来ると、奥の暗がりから黒服のサングラスをかけた男達が出て来て彼の背後に並んだ。

振り向けば、後ろの退路も塞がれていた。


漸く状況を理解した私は、中也さんの方を向いて溜め息を吐く。





『……マフィアが何の用ですか』

「まぁ少し用があってよ。大人しく付いてくれば酷いようにはしねェ」





何時もより鋭くて冷たい瞳。


────ああ、マフィアの顔だ。



私達は、

敵対する関係になってしまった以上、「仕事中は私情は一切持ち込まない」という約束をした。

今日は仕事中に初めて出会ったけど、彼はその約束をきちんと守ってるようだ。


今此処での私達の関係は「探偵社のバイトとポートマフィアの幹部」だ。





『今は停戦命令が出てる筈です。私を傷付ければ命令違反になるのでは?』

「ああそうだな。だが手前もこの状況で抵抗する程莫迦じゃねェだろ?」





挑戦的に笑い乍らそう云うと、

彼もまた挑戦的に笑い乍ら片足で地面にヒビを入れた。


………武力行使かこのやろ。





『もし私が見逃してって云ったら?』


「断る」


『…ケチ』


「これも仕事なんでね」





私は小さく溜め息を吐いた。

そしてポケットの中の端末で時間を確認する。





『……判りました。早めに済ませられますか?』


「流石。物判りが良い」


『こんなところで死にたくないんで』





涼しい顔でそう云う。


…猫探しはまた明日にしよう。



12.〈女子高生と幹部〉→←10.〈猫〉



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奏翔 - とても面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (2023年3月21日 20時) (レス) @page50 id: 49dd49021f (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - とても面白かったです!更新楽しみにしてます! (2023年3月17日 10時) (レス) id: e237c48342 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます!( ;ᵕ; ) これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2023年2月3日 7時) (レス) id: 064241d233 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - ゚+。:.゚おぉ(*゚O゚ *)ぉぉ゚.:。+゚めっちゃ楽しみに待っていました٩(๑>∀<๑)۶更新ありがとうございます<(_ _*)>麦子さんの小説は大好きです。頑張ってください。これからも応援してます。 (2023年1月19日 0時) (レス) @page48 id: 6b9c5dcab8 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - Senaさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです…😭更新頑張ります! (2022年5月2日 1時) (レス) id: 064241d233 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麦子 | 作成日時:2018年4月28日 20時

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