42【過去ver.】 ページ42
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Aが高専に来てもう少しで1年となる、今年の春。
もうだいぶ術師として慣れてきた桜の季節に、新しい高専の生徒が入学してきた。
「灰原雄です!」
「七海健人です」
今日は、晴れて2年生となった永広と、新1年灰原と七海の合同任務であった。
「七海、この先輩も綺麗だね!」
「そう言うのは本人に」
「綺麗ですね!」
「本当に言うのか…」
素直に褒める灰原に、永広は振り返る。ただ、表情筋を一切動かさず言い放った。
「ありがとう」
「凄いサラッと受け止められた!言われ慣れてるのかな?」
本当は言われ慣れていると言うより、永広は無表情である事が多いだけなのだが、否定する事もせず、任務の話になった。
「今日は2級呪霊祓除の任務。有名な心霊スポットの廃ビルに出た呪霊を祓いに行く」
「2級かぁ、僕達に務まるかな?」
「永広さんは何級なんですか?」
七海が率直に気になった事を聞いた。「準1級」と答えが返ってくる。
五条のせいで感覚が麻痺するが、準1級がまだ優秀な方である事は、七海も灰原も知っていた。
祓うのは2級。だとすると、2級の中でも強い方が出る確率が高い、だから自分達も派遣されたのだろうと予想が着く。
「こんな任務より、1級昇級の為の任務は行かなくていいんですか」
「それのことか」
七海が尋ねると、永広は垂れてきた髪を耳にかけて、さも当然のように言葉を紡いだ。
「昇級の為に頑張るより、君達と一緒の任務に行った方が、有意義だと思った」
嘘偽りの無い言葉に、これ以上何も言えない。けれど、灰原は嬉しそうに、七海はぎこちなくした。
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作成日時:2021年3月9日 0時