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「婆さま、只今戻りました」
他の家より一際大きな屋敷に、蓮川櫻子はいた。
「…A、なんて者を連れて来たんじゃ」
皺を寄せた顔。開いているか定かではないほど細い目。歳を感じさせない良い姿勢での正座。紫の着物を見に纏っている。
「アンタが蓮川櫻子?随分老いぼれだな」
「婆さまに失礼な事を言わないで」
五条の言葉に、永広が止めに入る。しかし、蓮川はそれを気にせず話す。
「ふむ、思い出したぞ小僧。五条家の六眼と無下限呪術の……」
「せーかい。やるじゃん老いぼれ」
蓮川は五条に覚えがあったのか、クククと笑って立ち上がった。すかさず永広が杖を渡せば、礼を言わずに五条に告げる。
「ならば、処理は任せよう」
「何で自分でやんねーんだよ。その術式なら余裕だろ」
「老いぼれは、老いぼれのままいたいからのう」
2人が話している内容を理解できない永広。昔から祖母の言うことは理解し難い部分があったが、今がそれだ。
話を終えた2人は、一斉に永広の方を向く。蓮川の方が口を開いた。
「A、寝屋を用意しなさいな。客人として扱うこと」
「分かりました、婆さま」
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「ここ、掃除したばかりの部屋だから埃はない」
「ふーん。こりゃ大層趣があること」
屋敷の離れにある1部屋に、五条を案内した永広。五条がピシャンと襖を開ければ、由緒正しそうな和室。
「及第点。生活面も色々よろしく」
「3食と風呂と着替えは用意する。他は無理」
「へいへい」
「それと、婆さまと何を話していた?」
永広の質問。五条は深くため息をつき、言葉を紡ぐ。
「なんも聞かされてねーのな」
「だから、貴方に聞いている。そもそも、貴方は何者?」
「五条悟、呪術師」
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作成日時:2021年3月9日 0時