33 ページ33
・
「初っ端からだいぶキツイかもしれないけれど、早速2級呪霊と当たったね」
「2級、上から3番目の」
廃工場。心霊スポットで有名なこの場所で、夏油と永広は2級呪霊に遭遇した。
元々書類でどれほどの呪霊が出るか、夏油は事前に知っていたのだが、あえて永広には何も言わず、着いてから伝えた。
これで動揺すれば助太刀の可能性が高かったが、永広はすまし顔で呪霊を見ている。
それもそのはず、特級呪霊を自身の体に取り込んでいた特級呪術師の祖母を持つ少女だ。
おまけに、周りの人間は皆呪いに慣れている。術師として最高の環境で彼女は育った。
腰を低く落とし、息を長く吐く。これは、花澤さんに教わった戦い方、息を吐くのは、岡田さんから。一人一人の名を思い浮かべて、目を瞑る。
先に攻撃を仕掛けたのは、永広だった。
永広が先程の選んだ呪具は、クナイを数本。
1発目を目くらましに投げ、その隙に走って距離を詰める。呪霊がクナイを避けたところに背後へと回り、間合いへと入った。
2本目を投げずにそのまま突き刺そうとするも、その手を掴まれる。残った左手で3本目を取り出す。
それを呪霊の足元へと投げて、気をそちらに向けたところで、掴まれていた右手を有り得ない方向に折り曲げて解放した。
空いたが攻撃不能となった右手はそのまま、左手で6本のクナイを全て呪霊に向かって投げた。
しかし、タイミングが悪く、全て飛んで避けられる。残りのクナイのストックは完全になくなった。
そう思えたその時、永広は右足を蹴り出す。
つま先の更に先端には、最後のクナイ1本。
避けきれぬスピードの蹴りにより、呪霊はまんまと祓われた。
339人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2021年3月9日 0時