12月・続続続続々 ページ41
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それから雪は降り続け遂に大晦日の晩になった。
人々は除夜の鐘を聞きながらコタツに集まる。
北の家でもまた然り。
北と祖母は年越しそばを頬張っていた。
一方、あのお社では開け放たれた社の扉が
不思議な雰囲気を醸し出していた。
黒闇の中に小さなロウソクの光だけが
時折北風に吹かれてゆらゆらと揺れていた。
お社の裏手には沢がある。
例年なら凍ることなく流れ続けるこの沢は
今年は凍って微動だにしなかった。
さらにその沢を越えると雪の積もった獣道がある。
僅かな凹みには雪が積もって道は分からない。
その獣道を辿って山を登ると
うっすら雪の積もった大きな切り株があった。
切り株の中央には丁寧に畳まれた状態で、
白色のシャツと臙脂色のスカートが置かれていた。
その切り株の横をぬけてさらに山を登る。
今度は立派な栗の木がそびえ立っていた。
栗の木の根元は淡く光っている。
子ども程の大きさをした光の塊は
ゆっくりと脈打つようにして大きくなっていく。
『──────……』
その光の塊の中にAはいた。
まるで胎児のように体を丸めて眠っていた。
時折、ピクリとまぶたが動く。
そろそろ、目が覚める頃なのだろう。
────────────
─────────
──────
何処か遠い処で新年を報せる花火が上がった。
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沙羅(プロフ) - トロピカーナブランケットツッパーナムルさん» めコメントありがとうございます!!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!読んで頂きありがとうございました!!! (2021年7月4日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
トロピカーナブランケットツッパーナムル - いやこの作新ガチ好き (2021年7月3日 17時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - でこりんまんさん» コメントありがとうございます!来て貰えて本当に嬉しいです…!!切ない、でも幸せなお話が書きたかったのでそう言って貰えて私も感涙です……!!!読んで頂きありがとうございました!! (2020年10月26日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
でこりんまん(プロフ) - 幼なじみは個性的から飛んできました……!凄く素敵なお話でうるうるしながらよませていただきました……!! (2020年10月26日 8時) (レス) id: 5f3c679f42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 19時