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12月・続続続々 ページ40

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「う"っ……!」




突如としてお社の中に吹き込む風。

冷たい風はロウソクの火をかき消した。







『ありがとう。』







そんな声が、否、風の音かもしれないが

宮司の耳にはそう聞こえた。






「……自由に、なれたやろか……」






宮司は腰が抜けたように座り込み

しばらくしてからのそのそとお社を出た。








───────────


───────


───






「今日はえらい寒いなあ。」


「ほんまやな……
いつもより雪降っとるんとちゃう?」


「おお、信介君!おはようさん!」


「おはようございます。」






そこかしこに雪が積もり

少し陽が出るだけでは溶けないくらいだった。






北はそんな雪を踏みしめながら自分の田圃に向かう。

勿論、北の田圃にも雪は積もっている。






「……熱が無くなったみたいや。」






北はそうポツリと呟いて

田圃の脇にある小さな祠に手を合わせた。






「あと3日で年が明けるんか……早いなあ……」






北は祠の横に腰掛けて

真っ白な田圃をぼんやりと眺める。






「約束、ちゃんと覚えてるから安心してな。」






祠に積もった雪を手で払いながら

北はそっと微笑む。





ひゅう、と冷たい風が北の頬を撫でて

思わず肩を竦める北。





「ほんまよぉ冷えるな……Aも温かくしてな。」






まるでAが居る様に話しかけた北は

ゆっくり立ち上がって土手を登る。






歩き去る北の背中が見えなくなった頃、

祠の中の小さな鏡が静かに割れた。

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沙羅(プロフ) - トロピカーナブランケットツッパーナムルさん» めコメントありがとうございます!!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!読んで頂きありがとうございました!!! (2021年7月4日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
トロピカーナブランケットツッパーナムル - いやこの作新ガチ好き (2021年7月3日 17時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - でこりんまんさん» コメントありがとうございます!来て貰えて本当に嬉しいです…!!切ない、でも幸せなお話が書きたかったのでそう言って貰えて私も感涙です……!!!読んで頂きありがとうございました!! (2020年10月26日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
でこりんまん(プロフ) - 幼なじみは個性的から飛んできました……!凄く素敵なお話でうるうるしながらよませていただきました……!! (2020年10月26日 8時) (レス) id: 5f3c679f42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 19時

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