序章 ページ1
──────
むかしむかしとある所に
Aという小さな女の子が住んでいました。
女の子はそれはそれは貧しい村の子でした。
水は枯れ、土は痩せ、すぐ隣には"死"がありました。
あまりに苦しい生活を強いられていた村人は
これは『悪霊の仕業』だと恐れました。
何とか鎮めなくてはならない。
神様にお祈り申し上げなくてはならない。
生贄を捧げなければならない。
そんな大人の勝手な考えで
女の子は山の奥にあるお社に閉じ込められました。
女の子は泣きながら神に祈りました。
涙が涸れると、命が尽きてしまった女の子の体は
魂が抜け空っぽになりました。
深い深い山の奥にあるお社は
自然の生命の力に満ち溢れておりました。
抜け殻となった女の子の体に
木、水、土、空気、全ての生命が吹き込まれました。
女の子の体を依代として
──────
『土地神』は人間が好きでした。
優しい笑顔をたたえてお社の前に座り、
いつも優しく人間達を見守っていました。
その土地一帯には
『土地神』の力が満遍なく行き渡るようにと
「神降ろし」の小さな祠が点在していました。
『土地神』はその祠を伝って
女の子の姿としてその土地を見て回っていました。
『土地神』は退屈でした。
ずっと黙って見ているのはつまらないから、と
人間達と話してみたいと思うようになりました。
『土地神』が最後に人間に姿を見せたのは
まだ神々の信仰が強かった数百年前でした。
『土地神』は決めました。
"ちゃんと"自然と向き合って
"ちゃんと"自分を信じてくれた者に姿を見せようと。
『土地神』はとある
小さな祠の横に座って人間を待ちました。
これから来るであろう
素敵な出会いに胸を躍らせて待ちました。
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - トロピカーナブランケットツッパーナムルさん» めコメントありがとうございます!!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!読んで頂きありがとうございました!!! (2021年7月4日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
トロピカーナブランケットツッパーナムル - いやこの作新ガチ好き (2021年7月3日 17時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - でこりんまんさん» コメントありがとうございます!来て貰えて本当に嬉しいです…!!切ない、でも幸せなお話が書きたかったのでそう言って貰えて私も感涙です……!!!読んで頂きありがとうございました!! (2020年10月26日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
でこりんまん(プロフ) - 幼なじみは個性的から飛んできました……!凄く素敵なお話でうるうるしながらよませていただきました……!! (2020年10月26日 8時) (レス) id: 5f3c679f42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 19時