【ハイキュー】マジ、女の子は顔じゃないらしいよ。

82　折り返し地点が見えない ページ8

・





取り敢えず。細かいことは置いといて、イケメンに告白されて何も思わない人間なんているだろうか。私は昨日に引き続き、顔の熱が冷めないまま布団の中で悶えていた。
いくら喪女で女子力がなくても、私だって一応女の子だ。例え普通を装うことはできたとしても、ついついくすぐったいような気持ちになるは許してほしい。それでも、思わせがちなことしたくないし、元から恋愛を好んですらいない。

私の選択肢にYesなど存在していなかった。



『……どうしよう、』



なのに、終わらせることを躊躇してしまうのだ。

私は、相手との距離が近いことが嫌いだ。近い距離にいるからと知ったかされるのはうざいし、時には弱点となるその存在を作りたくなかった。

誰とも丁度いい距離を保っていたかった。

保っていた、つもりだった。


告白を断ると言うことは、相手との気持ちが大きく矛盾した瞬間。例え相手がこのままの関係を続けたいといっても、私は弱いから、どうしても距離を取ってしまうだろう。

本当に面倒くさい感情だ。それを避けたくてこうして生きてきたというのに。今まで作り上げてきた “丁度いい” 距離と関係を変えられることを、避けたかったのに。



……私はまだ、高校一年生。

今、バレー部に所属している以上、彼らと出会う機会はこれから最低でも数回はあるし、もしかしたらこの先まだ数年付き合っていくことだってある。
恋愛経験0の私には、この先どういう顔をして付き合っていけばいいのかが分からない。

そんなことを気にしていたら疲れるだけだと分かっているのに、気にせずにはいられない。いっそのこと縁を切ってしまうのも手だと思うけど、それは嫌だと思ってしまう私はもう既に、絆されているのかもしれない。



『……なんで、今なんだろう…』



それでも。私がもうちょっと利口で、生きていくのが巧い人間だったら、こんなことにはならなかったはずなのに。




『私って、本当に我が儘だな…』



私は一人、頭を抱えた。




・

83　理解していないのは、→←81　わたしときみの世界事情

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す