【歌い手】KISS【luz】

kiss44 ページ44

「・・・なにそれ、なんか、プロポーズみたい。」


伊織の言葉のせいで、なんかいろいろなものが胸にこみあげてきて、

少し泣きそうになってしまって、


照れ隠しもかねて、

少しからかうようにそう言った。


「あ、いや、ええとそう云うつもりで言ったんやなかったけど、

　・・・うーん。


　でも、光が一生私の手を離さないでくれたら、

　意味的にはおんなじになってまうけど、」


私としては、その意味で受け取ってもらって全然かまわんよ。



なんやねん。

見た目は可愛いのに、中身はめちゃくちゃイケメンとか。


カッコよすぎるんやけど。



ああ、でもそれ以上に

「じゃあ、遠慮なくそう云う意味で受け取らせてもらう。」


安心した。

やっぱり、言葉というのは安心する。


言葉にしないと伝わらないものもある。


けど、やっぱり顔も見たい。

会って直接話をしたい。


そう言えば、しばらくキスをしていない。

きっと伊織は気づいていないだろうけど、

彼女はキスをした後、


間近にいる俺でも気づくか気づかないかの些細な動きだが、


ほんの僅かだけ、口角を上げて微笑する。

その顔が、すごく好きだから。


だから、キスしたくなる。

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