【歌い手】KISS【luz】

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「私は特に理由とかないから。

　光くんが好きで、そんでいきなり横から光くんかっさらって、


　単純に嫉妬だよ。」


文句ある？

何処までも強気な目でそう言ってくる彼女に、


「文句？ないね。」

と返したら、


「なに、あんた。マジもう・・クソっ。



　・・・勝てないなぁ、これは。」



残りは一人。

自然とそちらへ視線が集まる。


どぎまぎした態度で恐る恐る口を開くその子に

少し悪いことしたかなと思う。


「もちろん、その、光のことは好きだったけど・・・

　あの、えっとただ、



　私はみんなが、嫌な思いしてるのが嫌だった、から。」


「光くんまで私たちの我儘に巻き込んじゃって、悪いとは

　思ったけど、


　でも、正直言って友達がヤな思いしてる方が、

　私はヤダ。



　だから、謝りません。」



堂々としてるけど、スカートを握りしめてる手が少し震えてる。

分かるよ、本当は怖いんだ。


本当は、怖くないわけないんだ。


ああ、なんだ。

本当に悪い子や、本当に嫌な子なんていないじゃないか。

ここには。


そうだったのか。

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