入籍 15 ページ15
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ここで何日間生活してきたかもうわからない
彼に頼んでもカレンダーや時計一つ置いてはくれない
窓も無い部屋の中で時間感覚がおかしくなる
それだけじゃない
私の生死は彼に全て委ねられ、私の全ての権利は彼により剥奪された
何も残っていない私をこれ以上支配しようとしてくる彼には、どうしても慣れそうにない
「じゃあ、仕事に行ってくるよ。
いい子にして待っていてね?」
『…』
体の至る所に包帯を巻き付け、黒い外套を音をたてて羽織る
ああ、いつもの彼の姿だ、と何処か懐かしさを感じた
閉まった扉の先からは何一つ物音は聞こえない
扉には特別な防音加工でもしてあるのだろうか
彼の財力ならば容易い事だ
『…』
彼がいる時間も辛いが、彼がいない時間もまた辛い
彼がいれば彼からの異常な愛から逃れる事ができない
然し、彼がいないといないなりにこれまたやる事が無さすぎて辛い
どちらにせよ、辛い事に変わりはないのだけれど、本当に暇過ぎておかしくなりそう
『はあ…何か、すること…』
彼にお願いすれば、毛糸と編み棒くらい貰えるだろうし、本も貰えるだろうけれど、どうしてもそうさせないのは
私のプライドが、まだ彼に甘える事を許さない
『そういえば…中也は…』
中也は、私が居なくなった後、どうなってしまっただろうか
私がここに囚われている事はもう知っているだろうか、それともまだ何一つ手がかりすらないのだろうか
そもそも、探していないなんて事は
『それはないよね…中也に限って…』
まだ、まだ来てないだけであって、中也は私の事を探してくれている
そう信じている
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茉耶 - 最近あひゃこさんの夢小説ばっかり見ていつも泣いてます!毎回いい作品をありがとうございます!!また太宰さんの小説書いて欲しいです! (2019年8月11日 16時) (レス) id: 2037e6e45f (このIDを非表示/違反報告)
−こま−(プロフ) - 太宰さんんんんん!!かっこいいーー!!!好きですううう!作者さんも、太宰さんも愛してます← (2018年11月22日 20時) (レス) id: 43a4a6fc1b (このIDを非表示/違反報告)
長月冬麻(プロフ) - すっっっごい面白かったです!ヤンデレ文豪さん、ほわぁ…真逆中也さんがあんなことをしていたなんて、さいっっっこうのドンデン返しでしたっ!私あんまり死落ちのヤンデレさん好きではないんですけど、すっっっごい面白くて、好き以外に選択肢がなかったです。 (2018年7月28日 19時) (レス) id: 0ab6a974b3 (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - かしさん» コメントありがとうございます! いつも死ぬ時は大体途切らせちゃってるのでわかりずらいんですよね(><)すみませんm(_ _)m 閲覧ありがとうございます! (2018年6月19日 21時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
かし(プロフ) - 物凄く面白かったです!最後に夢主の回想が途切れた時はえ?あれ?タブレット壊れた?と思いましたが、そう言うことだったんですね! (2018年6月19日 17時) (レス) id: 5b825520a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:私です x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2018年3月27日 11時