親戚が推しだなんて聴いてない【うらたぬき】

18話 ページ20

Aside



暖かい………




「あ、Aちゃん起きた？」




優しそうな声が聴こえ、声の主がいるであろう後ろを向く。




『！？！？！？せ、センラさん！？！？』





慌てて離れると、心拍数が上がっていくのが分かる。





「Aちゃん、寝ぼけてセンラの所行ったんだよ…ね、怖くない人達でしょ？」




お兄さんがニコリと笑う。





確かに何もされていない………けど………








『私の知ってるセンラさんは……浦島坂田船は…………もっと、手が届かないような遠い場所にいて…』




それが今、目の前で笑っていて。






『どんなに憧れてても会えない様な……』





「ううん、それは違う。俺は知ってるよ。夜遅くまで勉強してたり、朝早く起きてご飯作ってくれたり…………Aちゃんは、凄い努力してるよ………だからさ、自分を信じても良いと思う」







遠い存在が、少しだけ近くなる。

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