再会 ページ17
ぼんやりと視界に入ったのは、ボロボロの洋館のではなく白い病院のような天井。左に目を動かすと、点滴。消毒の匂いがする。
「目が覚めたかい?」
足元から女性の声がした。コツコツと此方に歩いてくる。視界に入ってきたのは特徴的な蝶の髪飾り。
『よさの、さん…』
与「おや?覚えててくれたんだね」
嬉しいよ、と微笑む与謝野さん。ということは此処は与謝野さんの勤務先か、と納得するA。そういえば、与謝野から貰った名刺をずっと懐に入れていたのを思い出す。
『(誰かがそれを見て運んでくれたのか…?一体誰が……真逆)…織田作ッ!?』
バッと急に起き上がる。くらりと少し目眩はしたが、身体の痛みはない。あれだけの怪我があったのにも関わらず、痛むのは点滴の針が刺さった左手の甲のみ。急に起き上がるんじゃないよ…!と憤慨する与謝野にどういう事だと目で訴える。
与「それは妾の異能力さ」
『異能力…?』
与「そう。妾の異能力【君死給勿】はあらゆる外傷を治癒させる。まァ瀕死の状態じゃなきゃ出来ないんだが……Aくん」
『はい』
与「その傷、何処で作ってきたんだい」
鋭い目がAを射抜く。Aのことを一般人、ましてやポートマフィアの幹部だと知らない与謝野が聞くのも最もだ。しかしAは答えない。
与「…だんまりか」
『与謝野さん。自分はどうやって此処に来たんですか?』
与「え?あァタクシーだよ」
『誰か一緒にいましたか?例えば、長身の男とか…』
与「いや、乗っていたのはアンタだけさ」
「運転手もアンタの事情は知らないみたいだったしね」と答える与謝野。嫌な予感が脳裏をよぎる。
『(でも、そうだとしても誰がタクシーを呼んだ…?)』
Aが思考をフル回転していると、そうだと思い出したようにポケットから何かを取り出す与謝野。
与「Aくんの側に置いてあったよ」
取り出したのは1枚のチケット。見覚えがあるそれを見た瞬間、Aは静かに点滴の針を抜いた。
与「!何やっ『すみません与謝野さん。行かないと』…その傷のこと、まだ聞いてないよ」
『必ず話します』
真剣な目で与謝野を見つめる。その真意が伝わったのか、1つため息をつき分かったよ、と了承する。向かう先はこの街で最も高い建造物、ランドマークタワー。
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なに - 読みやすくて3作品夢中に読んじゃいました!すごく続きが読みたいです!一年前の作品ですがよければかいていただきたい!!! (1月1日 23時) (レス) @page34 id: 609d62ddb9 (このIDを非表示/違反報告)
三斗(トリップ願望者) - ぇ…終わっちゃったんですか・・・?続きかければ書いてください!絶対読みます‼ (2022年7月11日 22時) (レス) @page35 id: 9ad11557a3 (このIDを非表示/違反報告)
Rio - 無理はなさらずがんばってください!! (2022年3月7日 22時) (レス) @page35 id: 663ca84b4d (このIDを非表示/違反報告)
甘党 - 頑張って下さい!!更新待ってます (2022年1月22日 13時) (レス) @page35 id: 577366e2a2 (このIDを非表示/違反報告)
あの - 更新頑張って下さい!応援してます! (2022年1月7日 19時) (レス) @page35 id: 347eae7089 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まっぽ | 作成日時:2018年1月8日 23時