Necromance41 ページ41
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薄暗くなって来た横浜の街を探索する、黒い外套、黒い帽子の小柄な男。中原は、鴎外の命令通りアイザックを捜して居た。
噂に聞いた事はある。ゴロツキの青年で、『真紅の氷』を操る異能力者が居ると。ゴロツキが溜まり易い路地裏や廃墟を探し回る中原。
更に暗い路地裏で打撃音。
「おい手前。『真紅の氷』を操るゴロツキは何処だ」
中原はゴロツキの男の胸倉を掴んで引き上げる。丁度善く絡まれたので、これは好都合だと殴って問い質した。
「し、知らない…!聞いた事はあるが、会った事は…!」
圧倒的な力の差を見せ付けられ、ゴロツキの男は中原に怯えた。中原は軽く舌打ちをし、男を投げ飛ばして重力の圧を掛け、骨を折る。これで暫くは動けないだろう。
この路地裏にも居ないか。と、踵を返して広い路地に出る。すると異変に気付いた。
「何だァ?あの車」
先程この路地裏に入る前は無かった車。治安が悪くて、普段から人通りの少ないこの路地に車を止めるとは。然もそれなりに高そうだ。こちらからは中の様子が見えない窓。
不審に思った中原が、その車に近付く。触れる距離にまで近付くと、ゆっくりと窓が降りた。そこから現れたのは。
「や!中也君。元気?」
桜の様な髪色に、黄水晶の如く輝く金色の瞳。白手袋を纏った手をぱらぱらと振って、薄気味悪い笑みを浮かべたその男。
「てめ…!!」
ぎょっとした中原。中原が大声を出しそうなので、藤崎は人差し指を口唇に当てて「しぃ」と騒がないよう促した。
確かに騒ぎは避けたい。大声にゴロツキが挙って集まりでもすれば面倒だ。中原は小声で叫ぶ。
「何ッで居んだよ!!邪魔でもすりゃぶっ飛ばすぞ!!」
そうして思い出す。藤崎が一番大事な物を。アイザックを捜し回る中原の前に、藤崎は現れた。如何にも怪しい。
然しその怪しさを悟られぬよう、藤崎は満面の笑みで云う。
「む、か、え、に、き、た、よ」
語尾にハァトを付けて、男がやるには気持ちの悪い仕草をする藤崎。中原はかなりドン引いた様な顔をして、一歩身を引く。
「キメェ!!」
そう大声で叫んだ。この辺一帯に響いた中原の声で、路上で寝て居たゴロツキ等が目を覚ます。面倒な事が起こった。中原ならば塵も同然な相手だが、面倒事を避けられるならば越した事は無い。
「乗って中也君!」
「チッ!」
中原が藤崎の車に乗り込むと、藤崎はアクセルを思い切り踏んで、一気にその場を抜けた。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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