Necromance5 ページ5
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先ず、太宰の厭な予感とは…幽霊の件を自分に押し付けられるからでは無い。
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____七年前。
太宰治が正式にポートマフィアに加入し、ほぼ同時に中原中也も加入した…その頃。
太宰は座らせられて居た。ただ黙って。かれこれ一時間が経つか経たないか位だろうか。それ程大きく無いこの部屋。窓から入る夕陽が、太宰の顔を照らした。
「ねえ」
太宰がやっと口を開いた。語り掛けたのは自分の目の前に座る男。一度目の太宰の声には気付かず、太宰はもう一度「ねえ、お兄さん」と繰り返す。
すると『お兄さん』と呼ばれた男が、漸く太宰の声に気付き、視線を太宰に向け、微笑んだ。
「如何したボク?あ、動かないで!今イイ所だから」
それだけ云って、男はまた集中してしまう。男も太宰の様に、整った顔立ちをして居た。髪の色は桜の様で、瞳は黄水晶に似た金色。
藤崎だ。藤崎は太宰を
「やだよ、僕もう飽きた。森さんも何でこんな事僕にやらせたんだろうね」
溜め息を吐いて席を立ち、太宰は男とすれ違った。すれ違い様、藤崎は不気味に口角を釣り上げる。
太宰が扉のノブに手を伸ばし、違和感に気付いて引っ込めた。何時もの造りと違ったからだ。背後の男から、「出ないの?」何て声が聞こえる。
「意地悪だね、お兄さん」
「あはは。何で?お兄さんはなぁんにもして無いだろ?」
「嘘。この取っ手、電流通ってるでしょ。それもスタンガンに匹敵する…かなりの」
藤崎は笑顔のまま振り向く。楽しそうに、愉快そうにその表情を保って居た。それが不気味でならない。人の事を云えた物では無いな、と太宰自身も思いながら。
「バレた?」
「そりゃあ判るよ」
「判って欲しかったんだよ。君が逃げない様にね。はい、もう逃げられないね?残念!」
目を細めて微笑みつつも、男から感じられる物は『逃がす訳が無いだろう』と云う強い視線。それもその筈。今の太宰は、藤崎にとって大事な画材。途中で抜けられては困る。
「はぁやだやだ。画材なら中也にすれば善かったじゃないか!何で僕なのさ!何時にも増して退屈!」
「あぁ!中原君ね。いや彼も中々フレッシュで善いとは思うんだけどさ。ほら、健康男児そのものだろ?」
桜髪の彼は云う。健康な人間を描く気にはならないと。そこから推測するに、ある一つの答えが浮かんだ。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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