Necromance24 ページ24
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「考え過ぎだよ太宰君。煙草の銘柄が被るのは、別に珍しい事じゃ無いだろ?」
「可笑しいんだ。私が地下に潜る前は…君は一切煙草を吸って居なかった。織田作からも聞いた。翔は煙草を吸うと噎せるって。可笑しくて笑ったのを覚えて居る」
太宰は見逃して居ない。『それ』の類の話をした途端、藤崎の手が止まった。ちらりと藤崎が太宰に視線を移す。
藤崎の『それ』を何かに例えるならば…。
依存や、執着。
だから亡き彼を真似る。いや違う。もう居ないと思いたくない。それとも____、
「俺は…後悔の念のある死霊しか見えないし、扱えない。一度、さくすけと話がしたかった。だけど視えない。聞こえない。
視えなくても善い物まで視える癖に、彼奴の霊は視えない。如何しても、視えないんだ」
藤崎は俯いて、今描いて居る絵を
太宰も元ポートマフィアの幹部であるから、藤崎の正体は知っている。『均衡者』。たった一人で形成される莫大な情報組織だ。
「…俺はこの街自体に興味は無い。だけど決めたんだ。彼が眠るこの街を、彼の友人である、君と安吾君がいる街を。彼が残した、『穢れた彼』が生きるこの街を。俺は、」
そこで口を噤んだ。『均衡者』であるには、安易に自分の意志を口外してはならない。秩序が乱れる。
「ちゃんと教えて。翔」
画材になり、向こう側に座る太宰が云った。あと一息。後少し。押し切れる____。
『
藤崎が立ち上がる。そうして太宰の元へ寄り、黒髪の蓬髪に手を伸ばす。白い手袋がぽんと太宰の頭に置かれ、そのままガッと全握力を掛けて掴む。
「いだだだだ、何するんだい!」
「はぁ、生意気な餓鬼ぃ。五歳下の餓鬼に教える訳無いだろ〜?
大人しく画材にされてればいいの。ほら返事は」
太宰は、むっと軽く口を膨らませて、立ち上がった藤崎を上目に睨み付ける様にする。
「矢っ張り君嫌い!君の方が身長低い癖に!」
「太宰君はもう一寸年上を敬いなさい!俺泣いちゃうよ!!」
「云っとくけど、翔を敬う気とか無いから!君に敬語を遣う位なら、私は賢治君に敬語を遣うね!!」
この餓鬼んちょ!この三十路!なんて、凄まじい近所迷惑を振り撒く二人だった。
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【要注意人物】
藤崎翔:年齢27歳。身長175cm。体重58kg。彼の詳細を公にすれば、街の均衡が乱れる可能性が大いにある為、詳細は厳重に保管、或いは消去済みである。
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χCielχ(プロフ) - 奏汰さん» ありがとうございます〜〜!!嬉しいです!!!! (2019年7月19日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
奏汰(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。 (2019年7月17日 2時) (レス) id: d623967004 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» だめですねぇ笑笑←藤崎の方がいい匂いするらしいです( ˇωˇ )(煙草臭除けば) (2019年6月26日 1時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - χCielχさん» わーい!いい匂いだ〜!素晴らしいなぁ〜!!みたいな感じで天に召されてくれませんかね、幽霊さんたち。……ダメですか?(´・ω・`) (2019年6月11日 0時) (レス) id: d74fa5c180 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - ロトさん» いい匂いになるだけですね!? (2019年6月2日 10時) (レス) id: 7ff5a81624 (このIDを非表示/違反報告)
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