冒険の書16冊目 ページ30
私は楽譜を持ってピアノのある部屋へ入った。
そこには少しほこりを被った、立派なグランドピアノがあった。
鍵盤に被っていたほこりを払い、音を鳴らす。
ポーン
部屋に、綺麗な歪みのない音が響き渡った。
ピアノの前の椅子に座り、楽譜を並べ、最初の歌詞に合いそうな旋律を奏でてみる。
貴「〜♪・・・駄目、合わねえ・・・・」
船「・・・此処の歌詞の音の差を、もうちょい大きくしたらええんちゃいますか?」
センラに言われた通りに演奏してみると、いい感じに歌詞とはまった。
坂「よくわかんないけど、此処はもっと盛り上げてもいいと思う。」
島「この旋律やと、歌詞と合わん気いするなあ。」
浦「此処の歌詞をもうちょっと強調したいんだけど・・・」
4人のアドバイスをもらいながら作曲を進め、気付けば外の太陽は沈みかけていた。
それでも私達は手を止めず、没頭していた。
この日の作曲の終止符がうたれたのは、空に月が上がりきっていて、坂田が
ふらふらしはじめたときだった。
時計を確認すれば、時刻は午後12時に差し掛かったところ。
貴「・・・・・もう今日は寝ようか。」
坂「・・・っふえっ!? え、あ、大丈夫! 眠くない!」
島「おう、あと半分だからやっちゃおうぜ?」
船「すんません、僕もう瞼が限界や。」
浦「俺も、すっごく眠い・・・・。 もう寝よう、船長命令・・・」
島「乱用された権限・・・まあ、ええか。 ほら坂田、寝るで。」
坂「うーん・・・ｚｚｚ」
貴「おーい、そこ寝るとこじゃねーぞー」
3人は坂田を引きずって部屋を出ていった。
私は4人を見送ると、楽譜をまとめようと手を伸ばした。
貴「・・・ちょっと、弾いてみようかな・・・」
伸ばした手を止め、楽譜を並べ直し、鍵盤に手を置いた。
ゆっくりと、前奏を弾き始め、流れに身を任せるままに演奏した。
楽譜の中の音符は途切れようとしているのに、私の指は止まる様子はなかった。
不思議な感覚だ。
遠い昔に、弾いたことがあるかのように自然と指が動く。
でも、自分の意思で弾いてるのではなく、体の中に自分ではない何かが入っていて、"私"という精神は
上から自分の肉体を眺めているかのような、変な感覚だった。
貴「・・・・完成・・しちゃった・・・・。」
ピアノの余韻が残る部屋で1人、私は呆然と立っていた。
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Ruina - 過去編すごく意味深い！これからも更新頑張ってください！ (2018年9月5日 17時) (
レス) id: 4f718e1884 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - うわー！めっちゃ続き気になるー！面白いです!! (2018年2月23日 17時) (レス) id: 80a388aab0 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - おもしろいーー！！ (2017年8月24日 17時) (レス) id: 0f5fa8bb5a (このIDを非表示/違反報告)
孤黒 - (;_;)あ、あれ？め、目から塩水が、、、過去編ヤバかったです。(語彙力これからも応援しています。 (2017年8月17日 1時) (レス) id: 2a7062127e (このIDを非表示/違反報告)
manari(プロフ) - コメント失礼します！！めっちゃ感動しました…(泣)世界観も好きです！これからも頑張って下さい！！ (2017年8月15日 16時) (レス) id: b97d9f2d41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：百合花日和 | 作成日時：2017年7月28日 20時
