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思い出の書9冊目 ページ22

〜うらたside〜

皆に情けない顔を見せないように下を向いてると、

頬に痛みが走った。

いきなり自分の身に起こったことに頭の整理が追い付かず

呆然としていると、今度は胸ぐらを掴まれた。

目の前には、まーしいの顔があった。

さっき、俺の頬を殴ったのも、まーしいだろう。

当の本人は、怒りに肩を震わせながら口を開いた。


島「なんで・・・なんであんたは全部抱えこんで、自分を責める。

今回のことは、うらたさんだけのせいやないやんか!!」


浦「・・・だから、さっき言ったろ。 言い出しっぺは俺だ。

責任は俺にある。」


島「せやったら、あの村に海賊が来たのも、うらたさんの

せいやって言うんか。」


浦「・・・かもな。」


島「今、あんたは自分の夢を下らないとでも

思ってるんか。」


浦「・・・・・ああ。」


俺の、この一言でまーしいの怒りは爆発した。


島「じゃあ、あんたに付いてきた俺達の気持ちはどうなるんや!!!

あんたが今、下らないと言った夢を、一緒に叶えたいと思って

付いてきたんやぞ!!!!!」


浦「ーーっじゃあ、どうすれば良かったんだ!!! 実際そうだろ!!!

俺がこんなこと言わなきゃ、ここでお前とこんな言い合いはしてなかったろ!!!!」


ああ、駄目だ。 罪悪感と怒りが混じって、言葉が溢れて苦しい。


浦「俺のせいにでもしなきゃ、俺自身が苦しいんだ!!!」


まーしいの後ろから、センラが止めようと走って来るのが見えた。

頭は案外冷静だった。

まーしいは大粒の涙をこぼし、口を再び開いた。


島「頼ってくれよ!!!! 仲間だろうがっ!!!!!!!」


その言葉と気迫に、俺は凍りついた。

俺の胸元から手は離れ、その場に崩れ落ちた。


島「そんな、俺達は頼りにならんか。 この中で、あんたの

力になりたいって思わん奴なんかおらんぞ。」


我慢していた涙がこぼれてきて、視界が滲む。


島「・・・頼むから、1人で抱えこまんでくれ・・・。

あんたが苦しいときは、俺達も苦しいんや。」


地面に涙が落ちて、しみが出来た。

そうか、俺は皆の気持ちを考えてなかったんだな。


浦「・・・ご、めん・・・ごめんっ・・・・

本当に・・・ごめん・・・。」


震える声で俺は謝り続けた。

ごめん、迷惑かけて。

ごめん、つらい思いさせて。

ごめん、1人で抱えこんで。

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Ruina - 過去編すごく意味深い!これからも更新頑張ってください! (2018年9月5日 17時) (レス) id: 4f718e1884 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - うわー!めっちゃ続き気になるー!面白いです!! (2018年2月23日 17時) (レス) id: 80a388aab0 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - おもしろいーー!! (2017年8月24日 17時) (レス) id: 0f5fa8bb5a (このIDを非表示/違反報告)
孤黒 - (;_;)あ、あれ?め、目から塩水が、、、過去編ヤバかったです。(語彙力これからも応援しています。 (2017年8月17日 1時) (レス) id: 2a7062127e (このIDを非表示/違反報告)
manari(プロフ) - コメント失礼します!!めっちゃ感動しました…(泣)世界観も好きです!これからも頑張って下さい!! (2017年8月15日 16時) (レス) id: b97d9f2d41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百合花日和 | 作成日時:2017年7月28日 20時

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