malus＿1 (ページ7)

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愛していたかった。__Srr ページ7

Asid

そらるさん、それは私の友達だ。

「ねぇ、A。俺と別れよ」

「は、ぇ…」

休日、カフェで一息ついている時に唐突にそらるさんから言われた言葉。あまりにも唐突すぎるので間抜けすぎる声を出してしまう。

「え、は？え、なんで、ですか」

やっとの思いで出した言葉も、あまりにも途切れ途切れであほのような顔をしたまま発したもの。そんな私を見てそらるさんはテーブルに肘をついて面白そうに。そして、何故だか愛おしそうにして微笑むのだ。

「んー…じゃ、俺と駆け落ちする？」

「や、質問の答えになってないんですけど…」

と、まぁそらるさんは下手くそなほどに話題を変えようとするのでなんで。という疑問が頭の中で浮き出てくる。そらるさんはいつもの透かした顔をしていて、何を考えているかよく分からない。

だって、

「私たち、そもそも付き合ってないですよね」

「あはは、バレた？」

そう、私たちは付き合っていない。
私のそらるさんは共通の趣味で知り合っているただの友達なのだ。友達で恋人なんてものではない。ただの私の友達だ。
恋人ですらないというのに別れを切り出された私の気持ちを是非とも考えて欲しい。

それだというのにそらるさんは楽しそうにそして子供らしく笑い、全く悪びれる様子がなかった。

「急にどうしたんですか…」

そらるさんが冗談を言うなんて珍しいし。

「んー？どうだろーね」

私が聞いても、何を考えているかわからないようなすかした顔でストローに口をつけて先ほど頼んでいたコーラを飲むそらるさん。

なんでこの人とんでもないこと言ってんのにそんなにすかした顔してられるの。

なんて思いながら、私も先ほど頼んだコーヒーを一口だけ飲む。その間も、そらるさんは透かした表情を崩すことはなく、何を考えるかよくわからないままだった。

そんなことを考えていると、そらるさんが私の視線に気づいたのか、ふっ。と面白そうに微笑んでから私の髪を一掬いしていじりだす。