まふに色んなことしてみた！【短編集】

狸寝入りしてみた ページ5

ただいま、まふまふさんは外出中です。




そして、あと数分で帰宅します。……悪戯する大チャンスですね！




「んー、何しようかな〜」




本当は盛大なことしたいんだけど…すぐ帰ってきちゃうもんなぁ。




まふが驚いて、しかも短時間で出来ること…。




「……あ！思い付いた！」




狸寝入り…寝たふりしてみよう！




夜、まふが帰ってくるまで必ず起きてるAさんが寝てたら、驚くでしょ！？




そう思ったら、さっそく寝たふりしよう。




ソファに横たわって、目を瞑る。……寒いな。




「も、毛布…毛布持ってこようかな」




あまりにも寒いので、部屋に毛布を取りに行こうとすると、玄関が開く音がした。




「ただいまー」




はやすぎるだろ！？




寒いけど仕方ない…大人しく寝たふりしなきゃ。




「ただいま！…って、あれ？A…？」




ガチャ、と勢い良く扉が開く音と共に、まふの明るい声が聞こえる。




でも、寝てるのに気付いたのか寂しそうな声を出した。




「寝てる…？Aー？おーい…？」




まふの声が近くなる。…この人、起きるまで叫びそうな気がするな…。




やっぱり、可哀想だし起きようか？




そう思い、目を開けようとした瞬間、まふが優しく頭を撫でてきた。




「…A、最近頑張ってたもんね。疲れちゃったのかぁ」




「…………」




まふの声はとても優しくて、心地いい高さだった。




あぁ、やっぱりまふは優しいな。いつも、色んな人のことをちゃんと見てくれる…。




「おやすみ、A。ゆっくり休んでね」




そう言って、まふは私に小さな口付けをしてくる。




「！？」




それに驚いて、私は思わず目を開いてしまった。




そんな私を見て、まふは一瞬目を見開いてから優しく微笑む。




「あれ、おはよう」




「お、おはよ…」




「あはは、まだ寝てても良かったのに」




そう言うまふの声は柔らかくて。私が少し寝不足だったの、知ってたのかな？




確かに、眠い。でも…




「ん、やっぱ起きる。まふと話したいから」




ありがとね、まふ。

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ラッキー歌い手

志麻

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