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「中也……私は君を許さないよ……」
「あん?何をだよ。」
「いつか絶対呪ってやる………」
ぶつぶつと呪詛を吐く太宰に、中原は気味の悪いものを見るような目で睨みつけた。
「A、今日はとっても楽しかったですわ!次は、お揃いのワンピースを着て、二人で出掛けましょう!」
「私も、新鮮な話を聞けて楽しかったわ。また連絡するわね。」
「はい!」
「さ、行きましょう中也さん。」
「はいはい。」
中原と腕を組むその姿が、何だか嫌に幸せそうに見えて、太宰はむっと眉を寄せたあとため息をついた。中原を応援するわけじゃない。妹の背中を押すのは兄の役目だ。
「ちょっと中也。」
「あ?なんだよ話し掛けてんじゃねぇ。」
やっぱり応援するの辞めようかな。一瞬そんな考えが過ぎるが、ここは何とか抑えて「いいからちょっと」と手招きをする。
「はぁ……A、先車行ってろ。鍵空いてるから。」
「はーい。」
彼女は兄達に軽く手を振り、一人先に車へと戻っていく。荷物を持っているんだからさっさと帰らせて欲しいが、太宰は言い出したら聞かない。何を企んでいるんだと警戒しながら近寄ると、太宰は口を開いた。
「君、香水を贈られる意味を知っているかい?」
「はぁ?知らねぇよそんなもん。一々意味なんて気にしねぇだろ。」
「あ、そう。やっぱり君は莫迦だね。」
「あ"ぁ"ん!?」
「もういいよ。さっさと行きたまえ。」
「言われなくてもそうするわ!!!」
そう言い残し、中原は早足で車へと向かうと、後部座席に荷物を置いてさっさと車を出した。去って行く高級車に呪詛を吐いていると、ナオミが声を掛ける。
「どうして助言したんですの?あんなに嫌がっていたのに。」
「………あの蛞蝓野郎は嫌いだけど、Aが幸せそうだったからね。妹の幸せは祈ってやるべきだ。それに、ムカつくし癪だし嫌いだけど、あの蛞蝓以上に信頼のある人間はいないよ。一応アレでも幹部だし、強いからね。私がいない間のAをよく知っている。」
元相棒だからこその信頼だ。信頼はしている。この世の何よりも嫌いだしムカつくし癪ではあるが、任せられるかどうかと聞かれれば任せられるだろう。もっといい人を見つけて欲しいところだが。
「なぁんで横光くんじゃないんだろうねぇ……まだ彼の方が納得できる。」
妹の男の趣味は一体どうなっているんだ。太宰は深くため息をついた。
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Napia - 完結おめでとうございます!! お疲れ様です!! 毎週のように「更新してるかな?」とウキウキしながらみてました!! 番外編も読みますぅ!! (2022年4月26日 16時) (レス) @page37 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
あんころ(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます!ダントツで面白かったです!! (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: 9e178210e2 (このIDを非表示/違反報告)
クリスタルパワー(プロフ) - 完結おめでとうございます!!いつも更新を楽しみにしてました!番外編があったら楽しみにしてます! (2022年4月23日 19時) (レス) id: 47ef91694a (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - 完結おめでとうございます〜!最初の頃からずっと応援していたので、見届けられてほんとに嬉しいですし、めちゃくちゃ面白かったです!番外編も楽しみにしてますね。 (2022年4月23日 19時) (レス) @page36 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
Hazuki(プロフ) - 凄く面白いです!15ページの「鼻歌」が「花歌」になっています…間違っていればすいません。これからも更新楽しみにしています!! (2022年4月21日 20時) (レス) @page15 id: 140c609c2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蛸花 | 作成日時:2022年4月16日 11時