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「や、やっぱり無理だって……！」
「なに言ってんねん！ここまで待っておいて行かないなんて損やろ！！」
放課後、外にある渡り廊下の端っこで生け垣に隠れながら、Aは今にも帰りたそうにドアの方をちらちらと見つつそう言った。
俺の「本人に聞いてみれば？」の一言で計画された『浦田先輩待ち伏せ作戦』に付き添い、あいつが来るのを今の今までずっと待っていたのだが、彼女はというと当の本人が現れても一向に動きを見せる様子はなかった。挙げ句の果には無理なんて言い始めてこの作戦を失敗で終わらせようとしている。
こちらがこそこそと隠れながら言い争いをしていることをもちろん知らないうらたセンパイとやらは、その間学校の敷地内に入り込んできた野良猫と戯れて遊んでいた。
「でっ、でもタイミングが」
いつまでも渋る彼女にしびれを切らした俺は彼女の顔をぐいと引き寄せ、そのままじっと眺めた。
こんな綺麗な瞳で見つめられているあいつが心底羨ましくなって、妬ましくなって。でもどうにもならないこの感情をぶつけるように目の前の薄紅色の頬を軽く潰した。
「さかたさん……？」
「幸せになりたいんやったら、自分で行動を起こさなダメやで、A」
「……うん」
彼女が軽く頷いたのを確認し、両頬に押し付けた手は離してからにっこりと笑ってみせる。
「わかったなら行くしかないなぁ！ほれ！」
「わ！？」
生け垣のない方向へと背中を軽く押すと、彼女のほそっこい体はそのままつんのめるような形で前へと出た。
「おわ……君、大丈夫？」
「は、はい」
どうやら生け垣から出た時の音でうらたセンパイに気が付かれたらしく、転びかかけていたAには日本に住む人間にしては白いその手が差し伸べられていた。
その見た目に反して案外力は強いようで、すんなりと立ち上がることの出来た彼女と頭を並べる。
やっぱりこいつ背ぇ低い。Aと大して変わらんもん。俺の方が全然……。
「怪我はない？」
「はい……」
「ふふ、良かった」
ふわりと笑ったあいつの笑顔は、悔しいけれど、見事にかっこいいとかわいいの中間地点を見事に保った顔をしていた。こういうのがAの言っていた人間のイケメンってことなんだろうか。なんとも言葉に表しにくい。
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いちたに(プロフ) - みりるさん» コメントありがとうございます！まだまだ続きますのでこれからまたよろしくお願いします！(TT) (2020年4月9日 18時) (
レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
いちたに(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます！ただ今更新しましたすみません(TT) (2020年4月9日 18時) (レス) id: 3105139abf (このIDを非表示/違反報告)
みりる(プロフ) - 終わりになっているのですが、ここで終わっちゃうんですか？ (2019年11月6日 17時) (レス) id: 55c9b6283e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2019年9月6日 0時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
色彩-shiki-(プロフ) - コメ返ありがとうございます！もう十分さかたんの可愛さ詰まってると思います！ (2019年7月16日 2時) (レス) id: 5b3e23066c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちたに | 作者ホームページ：
作成日時：2019年3月11日 22時
