ファイナルゲーム序 ページ41
「だから、もう1ゲームやろう」
そう、太宰は云った。
「判りました。でも、其れは太宰さんに利益は無、いと……」
わたしの言葉は尻すぼみになって仕舞った。
なぜなら!
もう一ゲームやったとして、利益があるのは推理ミスをして窮地に追い込まれたわたしだけ。
太宰はそのまま逃げ切る事も出来た訳だから…否、そうでも無かったり、するのか?
兎に角、そんな事を指摘してどうする!自分!!
と、一人慌てていると、太宰が独り言の様に云った。
「確かに、そうだ。でも、面白いと思ったのだよ。君の推理を。確かに穴も多く、完璧には程遠い、が。そんな君とのくじ引きなら……
暇潰しには、なるだろう?」
そう云って太宰は宣言した。
「さぁ!ファイナルゲームの幕開けだ!!」
わたしは暫く呆気に取られていたが、
「そうですね!」
と、このゲームを楽しむ事に決めたのだ。
ごめん!中也君!!
中也には心の中で拝んでおく事としよう。
「後攻で」
わたしが云うと、太宰はくるりと後ろを向いた。
わたしは早速マジックペンで割り箸に絵を描いた。
「そう云えば太宰さん。塩素とアンモニアを間違えるのは無いですよ」
「ふふふ、じさつマニアたるもの、全ての事を其れに結びつけるべし!だよ。Aちゃん」
絵を描く音をバレない様にする為と話し掛けてみたが、想像以上の答えが返って来て仕舞った。
「そ、そうですか…」
「そうだとも!
例えば今だって塩素がこの部屋にばら撒かれているやも知れない!!
ホラ、この匂いを嗅ぎ給え!至福の世界へと導くこの匂いを!」
「……ファイナルゲームは、立ってやりましょうか」
今までコンクリートに座って行って来たが、わたしは立ってやる事を提案した。
其れは、
確か塩素瓦斯って空気より重いから下の方を流れるんだよね。うん、立つしかない!
と、思ったからだ。
気休め程度だが、窓を開ける事をままならないこの部屋では最善の策、では無いか?
匂いも判らないからどちらに逃げれば良いかも判らないし…少なくとも太宰がばら撒いたとしたら、自分の近くには撒かないだろうから太宰の近くは安全、、、
そう云えば先刻云ってたな。
『じさつマニア』とか何とか。
立っては見たものの、立った状態では絵は描きにくく、わたしは座って絵を描いた。
「出来た」
うさちゃん!!!
…………………そう、これはうさちゃ、ん………
ホラー何かじゃない!!
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時