再再会 ページ5
昔みたく接する。
ナオミのアドバイスでそう決めたのだが…
「中也君が居ない…!!」
そう、何処を探せど中原中也が見付からない。
この間、中也と会った場所に足を運んでみた、が案の定誰も居なかった。
「はあ…」
折角会えたと思ったのに…そう泣きそうな声で呟いた。
わたしが今居るのは行きつけの喫茶所。
──カラン
誰かが扉を開けた音がして、ハッと顔を上げる。
「…違うか…」
そもそも期待はしていないが、
落胆はするものだ。
「あの…」
落胆している所で女給さんが申し訳無さそうに話し掛けて来た。
お団子に美しい黒髪を一纏めにしていて、顔立ちも女性のわたしでも充分に惚れる綺麗な顔。
声はスッキリと通っている。
佇まいは上品なのだが、デニムのエプロンには可愛らしいパンダが縫い付けられている。
そのコントラストに酔った男の数は多いのだろう。
「あー」
わたしは頭をポリポリと掻いた。
気付けば此処に入って小一時間が経っていた。
「済みません、直ぐに出ます」
隣の椅子に掛けておいた外套を引っ掻けて席を立つ。
「いえ、そうではなく、中也様が…」
「はい、幾ら払いまし…ん?」
“中也”と云う単語が聞こえた様な気がして動きが止まった。
「中也様を探している人に此れを渡して欲しい…と。中也様からです」
女給さんはパンダポケットから一つの茶封筒を取り出した。
「有り難う御座います」
頭を下げて、中身を取り出す。
気付けば女給さんは居なくなっていた。
プライバシー管理は大切だからね。
良く出来た女給さんだ。
茶封筒の中身は、一枚の紙きれだった。
二折りにされた紙を開く。
メモ帳から取った様な小さな紙には白と黒の犬の可愛らしいイラストが左端に描かれていた。
『横浜◯◯××××‐×』
紙には横浜と地名。謎の数字の羅列が在った。
これは……
何だろう?
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時