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第28話 ページ33

突然視界外から声を掛けられて



江川女史は飛び上がった。



「結構いけてると思うけどね、それ。
演者ってことは殺されるのは
役者さんかな? ふうん。どうなるか
楽しみだねえ、おばさん」



「おばっ......」



江川女史の眉間がひきつった。



「乱歩初対面の女性におばさんは失礼だ」



私は、すぐさま乱歩を注意した。



「はぁい」



興味がなさそうに、返事をする。



「福沢さん。誰ですかこの子供達は?
こんな時に無関係の人間を内部に
入れられては困るのですけど」



「申し訳ない。彼等は......私の弟子と
求職者だ。以前に事務の手が足りず
困っているという話を、此方の
関係者から伺ったのを思い出した。
この一件が片付いたら此方の少年の
面接を頼めないかと」



「はあ、確かにうちは年中人手不足ですけど」



江川女史は目を(すが)めて胡散臭そうに



乱歩を見た。



「判りました。でが所定の規則に従って
事務の窓口に履歴書を送って下さい。
他の候補者と一緒に審査するわ」



「なあんだ、他にも希望者がいるの?」



乱歩が不機嫌そうな顔をした。



「厭だなあ、そんなんじゃ僕が採用
される訳ないじゃないか!
今ここで決めてよ」



「はあ?」



福沢は誰にも聞こえないよう



喉の奥だけで溜息をついた。



「貴方ねえ、そんな我が儘な子供を
大人が採用したがると思う?
大人の世界はまず礼儀が第一なの。
それを理解して頂戴」



「それ他の人からも聞いた。何度も」



乱歩はかつてないほど



うんざりした顔をした。



「理解できないよ。大人の世界なんか
最初に本音を云えばいいのに、一々
隠すのはなんで?例えばおばさんは
劇場の支配人なんてホントはやりたくない
部下を威圧するために靴と服には
お金を掛けてるけど、爪の手入れは
ろくにされてないし、指輪もない。
指の付け根に消えかけのタコがあるよ
手は前の仕事に戻りたがってる。あとは
警察も用心棒も劇場関係者も信用してない
でなければ用心棒のおじさんを最初に
市警を引き合わせるはずだから。
引き合わせないのは、おじさんに
市警を見張らせるためだよね?
で警察にもおじさんを見張らせる。
人が死ぬんだからそのくらいしてもいいと
思うけど、だったら最初にそう云えば?」



「なっ......」



江川女史は反射的に自分の指を



隠しながら云った。



「何をいい加減なことを、失礼な」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 織田作之助 , 成り代わり   
作品ジャンル:アニメ
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時

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