102*.帰心 ページ10
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貴「___いつまで歩くんですか、月山さん」
いい加減痺れを切らした私が少し強めの口調で言った。それに対し月山さんは飄々としてこう答える。
月「もう少しで着くよ」
それもう8回目なんですけど……
なんて心の中で呟きながら歩みを進めた。すると直後月山さんの足が止まった。
月「ここだ!着いたよ」
貴「……ここ、何なんですか」
何か嫌な予感を感じた私は顔を顰めて月山さんに問いかける。
月「カネキ君宅さ!丁度用があってね」
貴「………」
しばらくお互いの目を見つめ合った。月山さんも私も微動だにしなかったが、
いよいよ耐えられなくなった私は踵を返し、すぐさま元来た道へと戻る。そして一言だけ告げた。
貴「帰ります」
月「Non non non!待ちたまえlady!!」
月山さんがすごい勢いと早さで私の腕をガシッと掴んだ。
貴「離して下さい月山さん……!」
月「フゥンッ……僕はしぶといよ……!」
そうして道のド真ん中で私の腕で綱引きが始まった。2人とも力を入れているので変な体勢になっており、周りから見れば奇行極まりない。チラホラ数人が怪訝な顔をして通り過ぎていくが、周りを気にしている余裕などない。
絶対、ここで負ける訳にはいかねェ……!
そんな事を言っても、成人男性の喰種に勝てる訳もなく。
貴「うわああああああいやだあああああ!!!離せええええ!!!!」
呆気なくズルズルと引きずられていくだけだった。
月「A!このままでいいのかい!?今どちらかが動かなければ、君達はすれ違い、わだかまりを抱えたまま時を過ごすのだよ!疎遠になる事も有り得るんだ!」
貴「………それは………」
嫌だ。こんな納得のいかない形で終わるなんて。
怖くてずっと避けてきたけど、もう逃げられない所まで来てしまったのかもしれない。
腹を括るしかないのか。
貴「………分かりました」
ええい、ままよ……!神様、再び私に勇気を……!
半分投げやりの状態で私はカネキ君に話を持ちかけることに決めた。
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カルパッチョォ/* - いや、今更過ぎてごめんなさい。なんですが、、翡翠様の作品にどハマりしております笑そして、大人と苦味のお話よ、、好きすぎて死ぬかと思いました笑笑金木君が照れててカワエエって思いました笑 完結するまでどんなことが起きるのやらグヘヘヘ、、 (2021年11月9日 18時) (レス) @page38 id: d7a56dec6a (このIDを非表示/違反報告)
翡翠@新垢作りました(プロフ) - 月柱るうなしさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!不定期更新ですが、完結はさせますので思い出した時にでも見て頂けると嬉しいです…! (2021年9月8日 5時) (レス) id: 63102a6d0d (このIDを非表示/違反報告)
月柱るうなし(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください!夢主の赤ちゃん扱いwwwwwwwww (2021年5月4日 19時) (レス) id: 1c76c3e1bb (このIDを非表示/違反報告)
翡翠@新垢作りました(プロフ) - ソマリさん» なんて嬉しいお言葉!ありがとうございます!!これからも手が止まらなくなるお話書いていけたらいいなと思いますので、よろしくお願いしますね! (2020年6月7日 12時) (レス) id: 51877158f0 (このIDを非表示/違反報告)
ソマリ - 面白くて一気読みしました! 続き楽しみにしてます! (2020年4月12日 12時) (レス) id: b11eed02a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠@新垢作りました | 作成日時:2019年8月24日 23時