99*.元気 ページ7
Aside
あれから半年程が経とうとしていた。
カネキ君は結局この半年、1度もあんていくを訪れる事はなくて、私は少し塞ぎ込みがちになった。もちろん仕事はしているが。
最近は忙しく動いていたためか貧血を起こしてしまい、今は2階で休ませてもらっている所だ。
それから私が用意していたプレゼントも、いつの間にか無くなってしまっていた。元より渡せる勇気もなかったけども。
アレ、結構高かったのにな……
彼を思い出すと、勝手に涙が出てきてしまう。
貴「あんな言い方しなくたってよかったのに……」
「全く、酷い奴だよな」
驚いて突然声をした方を見ると、コーヒーを持ったトーカが立っていた。はい、とそれを机にコトンと置いて私の隣に座る。
ありがとう、と言って少しコーヒーをすするとトーカが口を開いた。
ト「……また泣いてんの?」
貴「……私も頭では分かってるんだけどさ………」
ダメ、泣くな。本当に泣きたいのはトーカなのに。
ト「……あんま、我慢すんなよ」
貴「…ッ……トーカはッ……自分の事もっと考えなよ……!」
いつも他人の事ばっかりで。
でも私は知ってる。彼女は本当は、心の中でずっと泣いてる。
ト「……私は、Aが元気ならそれでいいんだよ。アンタの笑顔見てると、みんな元気になんだよ。私もそれで元気もらってきたからさ。………ホラ!辛気臭ぇ顔すんな!笑え!」
むにっと私の頬を掴むと、四方八方に動かし始めた。
貴「うぅぅうん!やぁみぇりょぉぉおお!」
私はすかさず、トーカの頬をつねり返した。途端に彼女はしてやられたという顔をする。
ト「いっひぇえなぁ!はにゃひぇ!」
貴「やきゃましゃあ!おぁいきょじゃあ!」
2人してヤケになって引っ張りあっていると、トーカが急に吹き出した。パッと手を離すと、ケタケタ笑いながら言った。
ト「あっはは、何やってんだ私ら。恥ずかし」
つられて私も笑う。
貴「本当ね。馬鹿馬鹿しい、やめよ」
ト「……調子戻ったじゃん。やっぱAはその方がいいよ」
あぁ、そうか、笑わそうとしてくれたのか。
貴「……うん。ありがとう」
やっぱりトーカは優しいなぁ。
そんな事を思ってほっこりしていると、彼女が探り探りな感じで私に聞いてきた。
ト「………ねぇ、Aはカネキ君の所に行く気はないの?」
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カルパッチョォ/* - いや、今更過ぎてごめんなさい。なんですが、、翡翠様の作品にどハマりしております笑そして、大人と苦味のお話よ、、好きすぎて死ぬかと思いました笑笑金木君が照れててカワエエって思いました笑 完結するまでどんなことが起きるのやらグヘヘヘ、、 (2021年11月9日 18時) (レス) @page38 id: d7a56dec6a (このIDを非表示/違反報告)
翡翠@新垢作りました(プロフ) - 月柱るうなしさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!不定期更新ですが、完結はさせますので思い出した時にでも見て頂けると嬉しいです…! (2021年9月8日 5時) (レス) id: 63102a6d0d (このIDを非表示/違反報告)
月柱るうなし(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください!夢主の赤ちゃん扱いwwwwwwwww (2021年5月4日 19時) (レス) id: 1c76c3e1bb (このIDを非表示/違反報告)
翡翠@新垢作りました(プロフ) - ソマリさん» なんて嬉しいお言葉!ありがとうございます!!これからも手が止まらなくなるお話書いていけたらいいなと思いますので、よろしくお願いしますね! (2020年6月7日 12時) (レス) id: 51877158f0 (このIDを非表示/違反報告)
ソマリ - 面白くて一気読みしました! 続き楽しみにしてます! (2020年4月12日 12時) (レス) id: b11eed02a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠@新垢作りました | 作成日時:2019年8月24日 23時