127*.紅潮 ページ36
「Aさん、大丈夫?」
「何がよ。カネキィ、アンタこそ何なの!?」
カ「えぇ……ダル絡み……」
貴「あぁん!?」
カ「いえ、何でもないです……」
イトリさんに酔っ払いの世話を押し付けられた僕は、対応に困っていた。とはいえ、放っておく訳にも行かないし……
Aさんは相変わらず据わった目で僕に文句を垂れてきた。
貴「カネキィ、何であん時何も言わないでいなくなったのよ」
カ「え……」
僕は突然前の事を聞かれ、戸惑いを隠さずにいられなかった。
貴「あの時……私がどんな思いでいたか……分かってんのッ……」
今にも泣きそうなのを堪えた顔で、彼女は僕の方を見ずにそう話す。
カ「……ごめん」
貴「いっつも謝るだけじゃん……」
カ「うん、分かってる……」
これ以上何を言ったらいいのか分からなくて、僕は口をつぐむ。
貴「1人にしないって、約束したのに……カネキはいつも嘘ばっかり吐くじゃんッ……」
堪えていた涙がとうとう彼女の瞳から溢れ出す。
貴「事情があるって頭では分かってる。でもッ1人にしてほしくなかったッ!!……寂しかったッ……」
子供みたいに泣きじゃくる彼女が、何だか愛しく思えた。
カ「うん」
貴「どうせまた、私の前からいなくなるんでしょッ……」
カ「ううん。もういなくならない。ずっと傍にいるよ」
貴「カネキの言う事なんか信用できない。バカ、嫌い、大っ嫌い」
カ「……Aさんに嫌われるのは、悲しいな」
僕は彼女を優しく抱き寄せ、耳元で囁いた。
カ「寂しい思いさせて、ごめんね。あの頃の僕は馬鹿だったから……そうする事で貴方を守りたかったんだ。……ね、どうしたら許してくれる?」
貴「ッ……耳元で、喋、らないでッ……」
ピクッと彼女の身体が小さく揺れる。
カ「どうして?」
貴「んッ……どうして、ってぇ……!」
Aさんは僕からは離れようと身を捩る。だけど、男の力に敵うはずもなく。
カ「ねぇ、教えてよ。Aさんは僕にどうして欲しい?Aさんが望む事何でもするよ、僕」
彼女の服の下に手を入れ、背中を優しく撫でてやると、先程よりも大きく反応する。
貴「うぅッ……も、やだぁ……ッはなしてよぉ……」
恥ずかしさで居た堪れなくなった彼女が、弱々しく呟く。
カ「ふふ、Aさん、今すっごく可愛い。……ちょっとあっちのソファーに移動しようか」
抵抗する彼女をひょいと持ち上げ、僕は自分の上に彼女を座らせた。
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カルパッチョォ/* - いや、今更過ぎてごめんなさい。なんですが、、翡翠様の作品にどハマりしております笑そして、大人と苦味のお話よ、、好きすぎて死ぬかと思いました笑笑金木君が照れててカワエエって思いました笑 完結するまでどんなことが起きるのやらグヘヘヘ、、 (2021年11月9日 18時) (レス) @page38 id: d7a56dec6a (このIDを非表示/違反報告)
翡翠@新垢作りました(プロフ) - 月柱るうなしさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!不定期更新ですが、完結はさせますので思い出した時にでも見て頂けると嬉しいです…! (2021年9月8日 5時) (レス) id: 63102a6d0d (このIDを非表示/違反報告)
月柱るうなし(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください!夢主の赤ちゃん扱いwwwwwwwww (2021年5月4日 19時) (レス) id: 1c76c3e1bb (このIDを非表示/違反報告)
翡翠@新垢作りました(プロフ) - ソマリさん» なんて嬉しいお言葉!ありがとうございます!!これからも手が止まらなくなるお話書いていけたらいいなと思いますので、よろしくお願いしますね! (2020年6月7日 12時) (レス) id: 51877158f0 (このIDを非表示/違反報告)
ソマリ - 面白くて一気読みしました! 続き楽しみにしてます! (2020年4月12日 12時) (レス) id: b11eed02a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠@新垢作りました | 作成日時:2019年8月24日 23時