113*.武器 ページ21
月「おっと、その前に」
月山さんが話を突然遮った。
月「僕からもう1つのプレゼントだよ」
そういって何度も見覚えのある銀のアタッシュケースを取り出す。
貴「これって……」
月「そう!喰種捜査官の“クインケ”だよ」
万「何でそんなモン月山が持ってんだ!?」
月「僕の家にある記念品の1つさ。素手で喰種と渡り合うには流石にキツいものがあるからね」
そうだ。私は喰種じゃない。
「月山さん」
皆が声の発する方を見ると、カネキ君が彼に冷ややかな視線を送っていた。
カ「Aさんに戦わせるつもりですか?」
月「どんなに優秀な盾があっても、一度壊れてしまえば己が身は守れない__カネキ君、君は自分が彼女を守れなかった時の事を考えているかい?」
カネキ君は虚をつかれて目を少し見開く。その瞳の奥がゆらゆらと揺れているのが私には分かった。
月「彼女自ら積極的に戦え、と言っているのではない。“最悪”の事態に備えて武器を持つに越した事はない、それだけだよ」
そう言って月山さんはクインケを展開する。それは細長く、剣と槍を融合したような形状のものだった。
月「クインケの扱いは僕が教えよう。受け取ってくれたまえ」
彼は私にクインケを渡してきた。ありがとうございます、と一言礼を言ってから私はカネキ君の方を向いた。
垂れた髪が邪魔で彼の表情は読めず、じっと黙って何も言わない。
貴「カネキ君」
私の声に反応して彼がゆっくり頭を上げる。私は少し笑って言った。カネキ君の不安を取り除くために。
貴「そんなに心配しないでよ。私は、皆の役に立てるならそれでいいんだ。何より、私の手でカネキ君を守れる事が嬉しいの」
守られてるばっかじゃ私の性分に合わない。私も、大切な皆を守りたいから。
カ「……いいのに、そんな事」
“私だってカネキ君と同じ気持ちだよ”と言いつつ、クインケを元に戻す。分かってくれたのか、カネキ君は
カ「……ありがとう」
と私に言った。それから小さく、“最悪の事態なんて、僕がさせないから”と私だけに聞こえるように呟いた。
………そういう所がカッコいいんだよなぁ。
今度は私は照れて俯いてしまう。まともにカネキ君の顔が見れない。
すると気を取り直したカネキ君がハキハキした声色で全員に向けて話した。
カ「取り乱してすみません。改めて話し合いを始めましょう。Aさんもしっかり聞いててね」
そうして静かにカネキ君が説明を始めた。
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カルパッチョォ/* - いや、今更過ぎてごめんなさい。なんですが、、翡翠様の作品にどハマりしております笑そして、大人と苦味のお話よ、、好きすぎて死ぬかと思いました笑笑金木君が照れててカワエエって思いました笑 完結するまでどんなことが起きるのやらグヘヘヘ、、 (2021年11月9日 18時) (レス) @page38 id: d7a56dec6a (このIDを非表示/違反報告)
翡翠@新垢作りました(プロフ) - 月柱るうなしさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!!不定期更新ですが、完結はさせますので思い出した時にでも見て頂けると嬉しいです…! (2021年9月8日 5時) (レス) id: 63102a6d0d (このIDを非表示/違反報告)
月柱るうなし(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってください!夢主の赤ちゃん扱いwwwwwwwww (2021年5月4日 19時) (レス) id: 1c76c3e1bb (このIDを非表示/違反報告)
翡翠@新垢作りました(プロフ) - ソマリさん» なんて嬉しいお言葉!ありがとうございます!!これからも手が止まらなくなるお話書いていけたらいいなと思いますので、よろしくお願いしますね! (2020年6月7日 12時) (レス) id: 51877158f0 (このIDを非表示/違反報告)
ソマリ - 面白くて一気読みしました! 続き楽しみにしてます! (2020年4月12日 12時) (レス) id: b11eed02a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠@新垢作りました | 作成日時:2019年8月24日 23時