【文スト】大人びている少女、武装探偵社にて奮闘中

十九話 或る爆弾 ページ21

先程の太宰の電話の後、急いで準備をし、玄関で靴を履いた敦。そこに

太宰『用意はいいかね？敦君』

その言葉に敦は

敦「はい…ッ」

張り詰めた様子で真剣に返事をする。そして太宰から指示が出る

太宰『先ず部屋を出たら、ドアをちゃんと閉めて、後ろを見ろ！！』

太宰の言う通りドアを閉め後ろを見ると

敦「…はっ？！」

“それ”を見た敦は一目散に階段を駆け下り、“それ”の前に来た。其処には、笑顔でドラム缶に嵌っている太宰が居た。それを見た敦は

敦「えっと…此れは何ですか？」

此れが普通の反応である。その反応に太宰は

太宰「何だと思う？」

呑気に太宰が聞くが敦は

敦「うーん…朝の幻覚？」

太宰「ハッズレー！」

頓珍漢な答えを述べる。其処で、ふと敦が真剣な表情になり

敦「真逆、敵の襲撃ですか？罠に掛かったとか…」

虎になった敦をいとも簡単に倒したのだ。そうに違いない、と敦は思ったが

太宰「自分で入った」

敦「はぁ？？」

予想外の太宰の返答に、呆れて物も言えないようであった。そして太宰は、こうなった経緯を説明し始めた

太宰「いや、何ね？こうしてドラム缶に嵌る自i殺方があると聞いたものだから、ちょいと試してみたのだよ。所がこの通り試してみると、苦しいばかりで一向に死ねない。しかも、此処まで来ると、自力では出られない。死にそー」

何とも緊張感のない“死にそー”である。こんな事を話している間にも、太宰の体は着々とドラム缶に嵌っていく。それを聞いた敦は

敦「はぁ…でも自 殺方なのですから、そのままそうしていれば何れ自 殺出来るのでは？」

敦の言葉に太宰は

太宰「私は自 殺は好きだが、苦しいのも痛いのも嫌いなのだ！当然だろ？」

敦「成程…？」

分かっているのかいないのか、曖昧な返事を返す敦だが太宰はそんな事気にせずに

太宰「それに、電話でAちゃんに言われて分かったのだが、此れは自 殺方ではなく、拷問方だったのだy…おっとっと！」

太宰が言っている最中に

敦「えい！」

敦がドラム缶を倒し太宰も倒れる

A「あ、終わってましたか」

敦「Aちゃん？どうして此処に？」

A「太宰さんに呼ばれて此処へ、私は社員寮では暮らしていませんからね」

敦「へぇ…」

太宰「Aちゃ？！無視しないでくれ給え！」

A「だからあれは自 殺方じゃないって言ったのに…」

太宰「すみません…」

年下の少女に怒られる太宰を見て敦は

敦(この人本当に大丈夫なのかな？)

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