十三話 人生万事塞翁が虎 ページ15
二人の様子に、少し不安になる敦、そして
敦「本当に虎は此処に現れるんでしょうか?」
と、独り言の様に呟いたが
太宰「現れる」
敦「ヒィ!?」
真逆、答えられると思わなかったのか悲鳴に近い声が出る敦しかし、その不安を拭う様に
A「心配いりません」
敦「え?」
Aが敦に声をかける。その言葉に敦はAの方を向く。そして、Aの言葉を受け継ぐ様に、太宰が口を開く
太宰「虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えても、私達は武装探偵社の一隅だ」
そんな太宰の自信に満ちた言葉を聞いた敦は、自嘲的な笑みを浮かべ
敦「すごい自信ですね…なんか羨ましいです。僕なんか、孤児院でも、ずっと駄目な奴って言われてて…その上今日の寝床も、明日の食い扶持も知らない身で…」
敦の頭に、脳裏にこびりついた、あの言葉が聞こえて来る
院長「“出て行けこの穀潰し!”」
職員2「“天下の何処にも、お前の居場所などありはせん!”」
その言葉に、敦は、膝を抱えていた腕に力を入れて
敦「確かに、こんな奴が何処で野垂れ死んだって…誰も気にしない…いや…いっそ虎に喰われて死んだ方が…」
A「敦さん」
敦「え?」
敦の自虐的な言葉に被せる様にAが口を開いた
A「この世の中に、簡単に散って良い命などありません。それは、貴方とて同じ事」
敦「Aちゃん…」
A「貴方は生きる為に此処まで来たのでしょう?そんな簡単に、生を諦めるのですか?」
敦「それは…」
Aの言葉は、敦の胸に残った、生への希望にそっと染み込んだ
A「他人の意見ではなく、自身の意見で生きなさい。此れは貴方の人生です。誰も貴方の生死を左右する事は出来ません。出来るのは敦さん、貴方だけです」
敦「…!」
敦はAの言葉に目を見開いた。
敦(これまで僕に…こんなにも優しい言葉を掛けてくれた人はいただろうか…天使がいたら、それはきっと、Aちゃんの様な子なんだろうな…)
と、胸が熱くなる感覚に身を胸が委ねながら、Aの話に耳を傾ける
A「それに、貴方は今日、太宰さんを助けてくれました。普通、餓死寸前の者であれば無視するのに…とても感動しました。そして、同時に思いました。貴方は迚も、優しい人なのだと」
それを聞いた敦の目から涙が溢れた。悲しいのではない。久しく感じていなかった、人の温かい言葉に涙が止まらないのだ。
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りんりん(プロフ) - やっさんさん» レス、出来なくてすみません!夢主ちゃんも偶にボケさせようと思っています。それも楽しんでくれると幸いです! (2019年10月14日 21時) (レス) id: 7fd268645f (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - やっさんさん» コメント、ありがとうございます!こっちは全然被害もなくて、少しワタワタしたくらいです。続編に行きましたので、そちらも更新していくので、是非見てみてください! (2019年10月14日 21時) (レス) id: 7fd268645f (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - りんりんさん» 更新があり、とりあえず台風を無事にのりきったようで、、なによりです。被害が大きかっ為、心から喜ぶわけにはいきませんが。続編もどんな漫才が飛び出すか楽しみ♪♪です。ところで、ポートマフィアに謎の人物が... ??面白くなりそうです♪♪。 (2019年10月14日 21時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - りんりんさん» ... 汗。太宰さんだけでも、大変なのに、夢主ちゃんまで、ボケれば、国木田さん、ノイローゼになりそうですね(苦笑)。しーらない 逃げっ。笑。 (2019年9月27日 12時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます♪自分でこうだったら面白いかな?とか考えながらやりました!偶に夢主ちゃんもボケる予定です♪ (2019年9月20日 23時) (レス) id: 7fd268645f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんりん | 作成日時:2019年9月9日 21時