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オレを突き飛ばした小さな手のひら、トラックのブレーキの音、鉄臭い匂い、今でも時々夢に見る。
交差点、ブレーキ痕、散った真っ赤な水溜まり、その真ん中にいる俺の目の前にはAが立っている、そんな夢を見る。
あのとき、Aはオレを助けてくれたのだ。なのに、オレは、オレは、何もできなかった。ただ、スローモーションみたいに、Aにトラックがぶつかるのを見ていた、だけだった。
Aはほんの少しも笑ってなどいない。その小さな身体は道路とトラックに打ち付けられて痛々しく、うつくしかった顔が歪められている。
ああ、こんな有り様では笑えない、笑えてたまるものかよ、なあ。
目の前で表情を変えないAは、やっぱり何も言わない。
「……Aがケイトを生かしたんだよ」
ふと、エリィがそう呟いた。
その声が震えていて、オレは顔をあげる。彼女の顔は、真っ赤に染まっていた。それは確かに怒りだった。
「表面だけみたいな会話だし、目も合わない、会話も続かない。なんであんたまで死んだみたいな顔してるのよ。ケイト、昔はそんなんじゃなかった。
Aの分まで、ちゃんと頑張ってよ!」
がたん、と椅子を揺らして、勢い余ったのかエリィは立ち上がる。そう叫んだ彼女の顔を見て、なんだ、と思う。
なんだ、全然Aと似てないじゃないか、と。
そう思った瞬間、ふっと体から力が抜けた気がした。
「……ごめん」するりと口から出た言葉に驚いて、しかし妥当かとそのままにする。が、エリィはぷい、とそっぽを向いてしまった。
「謝って、なんて言ってない。
ただ、嫌なことも辛いことも苦しいことも、全部逃げずに背負って、ちゃんと生きて。それから死んで」
そう告げた彼女の横顔は、やっぱりAにちっとも似ていない。
花の死骸が踏み潰される音が聞こえる
[そうしてオレは起き上がらなければならない]
その夜に、またあの夢を見た。そこにいたAは、どこも歪みのない綺麗な笑顔をオレに向けていた。
その笑顔がどうしても好きなのだから、オレはそれですべて許された気がするのだ。
2020/10/14 硝子屋
2023/7/10 加筆修正
※レオナSS「塗り潰した憧れ」を書く前に書いたやつ
あまりにも暗すぎたので非公開にしてたんですけど供養します。
続く (更新停止中)
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硝子屋(プロフ) - 食パンさん» リクエストありがとうございます。ゆっくり更新になるとは思いますが、気長にお待ちくださると幸いです。 (7月11日 23時) (
レス) id: bfedb6e9a1 (このIDを非表示/違反報告)
食パン(プロフ) - あのぉ趣味でやってるなら申し訳ないのですが厚かましいお願いです。レズで元の世界に彼女もちの監督生夢主と、本気で夢主を墜とすつもりでいるルクハンをお願いしたいです！※夢主は彼女から離れるつもりはないあと夢主は女の子。これからもほどほどに頑張ってください (7月10日 18時) (レス) id: 1be4b3aa35 (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - ハイドさん» 返信遅くなって大変申し訳ありません……！リクありがとうございます、承りました！ただ、私情によりこれから先更新できる頻度が少なくなってしまいますので、気長にお待ちくださると幸いです……。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
ハイド - 初めまして！リクエスト良いですか？キャラに盛る毒を夢主が奪って飲み込んだらをお願いします！キャラはフロイドでお願いします！ (2021年1月31日 11時) (レス) id: 76fb91e4e9 (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - ソーダさん» ありがとうございます〜〜！そう言っていただけるのが何より嬉しいです……！ (2020年12月24日 18時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：硝子屋 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年3月2日 16時
