第44話─夢ならば─ ページ45
「チッ、逃げたのか?」
なんて、中也に限ってない事を悪態として吐き出した。つまらないから、ソファに座り、ソファの背もたれにもたれ掛かり、天井を見つめた。急な眠気に襲われた。今日は色々あったしな。
髪が頬に張り付く、それを払う元気すらない。そしたら、扉が開いた。自分は眠くなりながらも文句を云った。
「怪我人を置いて、呑気にお散歩でも行ってたんですか?中也君、」
中也「うるせ、その口縫うぞ」
「ふん・・・・・眠い・・・中也、早く包帯巻いて、」
中也「たく、はいはい、」
呆れたように中也が近づいてきて、私の隣に座った。そして、私は重い頭を起こして中也を見ると、少し違和感を覚えた。
「中也、どうした?顔色悪いぞ?」
中也「そりゃ、今日同僚が敵に損傷は受けるし、首領の圧は怖いし、手前が女だって訊いたし、頭が働かねぇんだよ。血が回んねぇんだ」
「なら頭に回るように逆さ吊りにしてあげようか、」
中也「手前、本当に減らず口だな、手前を吊るしてやろうか?」
なんて何時ものペースに話すが、此方を向いてくれないし、目は何処か虚ろだった。
「首領から何か聞いたのか?」
自分の服の袖から怪我した腕を脱いで、腕の傷を消毒して包帯を巻いてくれる中也の手が止まった。図星だな。
「聞いたんだな、て事は、今回のは首領が差し向けたネタばらしみたいな訳か?僕が女だって知ってたのか、そして、その顔だと僕の過去も知ったんだね?」
中也「……」
「面白がって話すあの人は、本当に許せない。そこだけ嫌いだ、」
私が云うと、中也は何事も無かったかのように包帯を巻く作業を続けた。
「中也、何か云ったら?云わない方が傷つくんだけど」
中也「首領が云ってたの、本当なのかよ」
「嗚呼、本当だ、幻滅したかい?」
中也「いや、してねェ、てか、する筈がねぇ」
「そっか、有難う、中也ならそう云ってくれると信じてたよ」
そして、包帯を巻終わったあとは、私は髪を適当に自然乾燥させて、巻いて貰った腕を見てた。もう、寝るか。
「中也、すまないがもう寝るね、」
中也「嗚呼、悪かった、じゃあな、」
「中也」
踵を返して、去ろうとする中也を引き止めた。だけど、自分でもなんで引き止めたか分からなかった。
「包帯、ありがとう」
中也「・・・・・・おう、」
そう云って去ってしまった。矢張り、私の事一回も見てくれなかった。
私の過去・・・後に話すとしよう。
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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年8月14日 0時