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「___やあ、もしもし」
「もしもし、ナカハラですが」
電話は突然、舞い込んで来た
「ねえその挨拶、本当にやめてくんないかなあ?
それ聞いたら、あの趣味の悪ーい蛞蝓を思い出してしまうのだけど」
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今日も今日とて私の居場所は、帽子幹部様の執務室
二人してふかふかソファに腰掛けながら、机上の書類や資料相手に睨めっこしていた
「面倒くさ……」
「おい、聞こえてんぞ」
ふと漏らした小さな呟きにも、目ざとく反応してくる帽子幹部サマ
そんなジトッとした視線を送ってこなくても
「もう作戦立案とか適当で良いじゃーん」
「何云ってやがる、首領の仰せのままに任務をこなさなきゃならねえ」
だからそのために念には念を、確実に任務を果たせる策略を、って云ったって
「だってさ、中也、強いんだからさ」
うーん、と目一杯伸びをして、それから力を抜いた体をソファに預けて、眠い口でもごもご
「作戦立案なんかなくたって、中也ならどうにでもできちゃうと思うんだけどなあ……」
云ってから、大きな欠伸を一つ
「…は?」
「…え?」
____してる場合じゃなかった
中也の驚いたような声に、自分の発言を順を追って脳内リプレイしてみると、ぐわっと胸の奥から熱が湧き上がってくる
「今のは! 別に意味はないっていうか! 中也は誰にも負けないって信じてるとか、そんなんじゃないから!」
「……ふぅん?」
待て待て
またやってしまってる、私
自爆してる、墓穴を掘りまくってる
我ながらどんな弁解の仕方だ、そもそも弁解なんてする必要あったのか
「へーえ、そうかよ」
いや、何でニコニコしてるの?
変な目で見られるか、冷めた視線で刺されるか、絶対どっちかだと思ったのに
逆に恥ずかしさに溺れそうなんですが
そうだ、違う話題を探して、すり替えよう
何か適当なネタでも落ちてないだろうか、カーテンの締め切った窓からじゃ、天気の様子も掴めない
頼りなく見渡す部屋、壁掛け時計
あ、ちょうど4時だ
この時間にはもう、中也との仕事を終えているつもりだったのに、何でこんな状況に
んん、4時?
『じゃあ、4時にまた掛け直すから』
まずい
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ライム - めっちゃ最高でした!!中也かっこよすぎてつらいです!こんな最高の作品を生み出してくださってありがとうございます!!!! (2022年12月26日 17時) (レス) @page43 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
なかはらあお(プロフ) - はじめまして、作品見させていただきました。お話の構成も内容もとても素晴らしく感動しかありません、どんぐり様のこれからのご活躍心より期待しております。長文失礼致しました。 (2018年4月22日 10時) (レス) id: a71351843d (このIDを非表示/違反報告)
藍音 - 凄く面白かったです!私の名字もナカハラがよかった... (2018年2月7日 0時) (レス) id: a82b5889f9 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 完結おめでとうございます!!きゅんきゅんしました…! (2018年2月1日 22時) (レス) id: c5a450a737 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - こんな時間に一気に読んでしまいました〜。眠たいのにドキドキが止まらなくて寝付けそうにありません!!(>_<) (2018年2月1日 2時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
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